そもそも「思い通りにいくこと」なんて少ない
厄介な上司をテーマに書いてきたが、よかった探しメソッドは、仕事におけるあらゆるものに使える。同僚や部下といった人物だけではなく、どうしても気分がのらない仕事、自分の希望に沿わない研究といった仕事そのもの、または、朝起きて会社に行きたくない、仕事をしているだけで眠くなる、といった気分や体調といったものまで、よかった探しをして「よかった」を抽出すれば前を向いて歩けるようになる。
働いているうちに出会える「よかった」は少ない。貴重な資源だ。それを、「よかった!」と思うだけではもったいない。言葉に落とし込んで書き留めることで、意識に残り、蓄積になる。
この文章は厄介な上司とどう付き合えばいいのかをテーマに書かれたものだ。だが、働くうえで必ず直面する「思い通りにいかない要素」とどう向き合えばいいのかという問題の、ひとつの解決策になっているはずだ。
厄介な上司とあなたが毛嫌いしている上司は、あなたが一緒に働くことを選んだ上司である。厄介な上司であっても、よい部分はある。「よかった探し」と「書く」という行為が厄介な上司との向き合い方を変えてくれるのは間違いない。
思い通りにいくことは数少ないという諦念をもって、ほのかな希望を胸に秘めて働こう。