家族や友人がひきこもりになった時の3つの対処法

では、もしも自分の大切な家族や友人がひきこもりになってしまった場合、どのように対処したらいいのだろうか。丸山さんは、対処法として「3原則」を挙げてくれた。

【家族や友人がひきこもりになった時の3つの対処法】
1:気にしないで接する(仲良くする)
本人を「ひきこもっている○○」と見るのではなく「家族の○○」「友だちの○○」と、ひきこもりになる前と同じように見て同じように接する。「ひきこもっているから~する/しない」という接し方(特別扱い)をしない。

2:対応の基本は「配慮」「模索」「積み重ね」
ひきこもりは病気でも悪行でもなく生きざま。だから普遍的な技術や正解はない。治療でも矯正でもなく妊婦に接するように配慮した接し方を続ける。常に本人に合った対応を模索し積み重ねていく。

3:“支援思考”から“生活思考”へ
社会復帰させるための対応ではなく「ひきこもり生活の質(ひきこもりQOL)」を高める対応(生活上の困りごとを解決・楽しみを見つける・安心感を持たせる)を考え実行し、本人と家族の幸せを追求する。

1と2は相反するようだが、丸山さんは、「『気にしない』をベースにして、その上に必要な対応を積み重ねていくイメージ」と話す。

「お子さんが病気になった場合、親御さんは看病したり、病院へ連れて行ったりしますが、それ以外ではいつもどおり接します。病気であることを除けば、そのお子さんはそれまでどおりのお子さんですから。しかしひきこもりの場合、『ひきこもりであることを除けば、わが子はそれまでどおりのわが子だ』と思える親御さんはほとんどいないのです」(丸山さん)

山添さんのように、ひきこもる本人が自発的に自室や家を「出よう」と思えるようになればそれに越したことはないが、実際はなかなか難しい。

3人の男性のシルエット
写真=iStock.com/AlexLinch
※写真はイメージです

ひきこもりの子供を「いない存在」として扱い、家族全員がひた隠しにする、“家庭のタブー”は家庭の構成員によって生じるものだ。だからこそ、ひきこもり事例の中には、家族の対応を改善しただけで、本人が社会参加できるようになったケースもある。

家庭のタブーが破られるタイミングは、前出の「短絡的思考」「断絶・孤立」「羞恥心」のどれか、もしくは全部が解消されたときだと筆者は考えている。つまり、家族全員がこれら3つの要素を解消できれば、ひきこもり問題も解決につなげることができるのではないだろうか。

 

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