元大手証券マンの黒田康介さん(当時25歳)は、2018年に脱サラして下北沢で焼きそば店を始めた。味には自信を持っていたが思うように客が入らず、開店4日目には赤字に転落。打開のために23時まで営業時間を延ばし、定休日も返上したが、経営は上向かない。黒田さんの元同僚で、兼業作家の町田哲也さんがリポートする――。(第2回)

調子がいいのはオープン後2日間だけだった

東京焼き麺スタンドがオープンしたのは、2018年7月1日だった。

「焼き麺」としたのは、焼きそばは一つのステップでしかないと考えているからだ。メニューの柱は焼きそばだが、将来的にはパッタイやミーゴレン、上海焼きそばなど中国のさまざまな炒麺にも広げていきたい。黒田のそんな野心が反映された店名だった。

開店してからの食数は、7月1日(日)、2日(月)ともに70食程度と順調だ。売り上げは6万円を超えた。日曜日は昼の混み合う時間帯にばらつきがあり、平日は夜9時半頃にも来店の山があることがわかった。

6月のプレオープンで感じたのは、客が来るタイミングが読めないことだった。不定期の開店ということもあり、数人しか来ないときもあれば、いくつかのグループが同時に来店することもある。

困るのは10人以上が一気に来店するようなときだ。まだアルバイトには作らせずに黒田が一人で対応しているので、どうしても作るのに時間がかかってしまう。トラブルなく対応できたことに、ほっとしている様子だった。

しかし売り上げのペースは続かなかった。4日(水)は35食、5日(木)は23食と減少し、7月前半は一日20~30食が多くなっていた。

図表1にあるように、店舗運営にはコストがかかる。ランチタイムだけでもアルバイトを一人雇えば人件費は5000円になるし、賃料、光熱費、水道料金などの諸経費も一日当たり1万5000円近くかかることを考えると、開店4日目にして赤字に転落したことになる。

オープン時の下北沢店の様子
写真提供=焼き麺スタンド
オープン時の下北沢店の様子