中国が不動産バブルをキープするために必要なこと
しかしながら、これはあくまで習近平が思い描いた(と思われる)青写真であり、実際に、そううまくいくとは限りません。確かに、これがうまくいけば、彼の支持基盤は盤石なものになるでしょう。しかし、このやり方は、下手をすると「バブル崩壊の引き金」にもなりかねません。なぜなら住宅価格の高騰を抑える政策は「もう不動産ではもうからない」というメッセージとも受けとれるため、投資家たちを「売り」方向に暴走させる危険性があるからです。
中国は、その気になれば政府の市場介入で、ある程度のバブル状態を維持することはできると思います。しかし金融のグローバル化が進んでいる今日は、外資の逃げ足も速いため、中国政府が望んでいる水準で維持できるとは限りません。
もし中国が今の不動産バブルの状況を「ほどよくキープ」したいなら、大切なのは次なるメッセージでしょう。つまり、何のために恒大集団に厳しくあたっているのか、それによって国民がどんな得をできるのか、これらが富裕層と一般民衆のすべてにちゃんと伝わらない限り、中国は不慣れな市場経済に足元をすくわれかねないのです。