「仕事への誇りが持てない」「フィードバックと承認がない」

では、優秀社員はどんな不安や悩みを抱えているのか。

分析によると、ワークメンタリティ好調者に比べて不調者は勤務年数が長くなるにつれて「仕事への誇りが持てる」「フィードバックと承認がある」の2点の得点が大幅に低下していることがわかった。

上司からのフィードバックが少なく、承認欲求も満たされず、仕事への誇りが持てない状態が続くと退職の引き金となってしまう。よく理解できる話だ。

最大の問題は、組織や上司が部下に対して必要なケアやコミュニケーションをとることを怠っていることだ。

優秀な部下であれば丁寧にフォローするなど気遣いが必要なはずであるが、それができないのは上司として不適格だが、実はそんなに生やさしい問題ではない。

前出のサービス業の人事部長は上司と部下の両方に問題があると指摘する。

「部下がミスしたとき『失敗したのはお前の責任だよな』と言うと、優等生の部下ほど『そのようなこと(失敗回避策など)は教えられていませんでした』などと、言い訳する傾向がある。言い訳されると、たいがいの上司はつい怒ってしまう。言い訳ばかりされるのは誰しも嫌いだから、こいつとは仕事をしたくないと思い、教えたくなくなってしまう上司も少なくない」

上司の気持ちも何となくわからないではないが、そこはひとつ我慢して粘り強く教え諭すことも必要なのだろう。

体育会系出身上司ほど口答えする部下のフォローしなくなる

だが、口答えされて部下のフォローをしなくなる上司は体育会系出身ほどその傾向が強い、と言う。

手を突き出す実業家
写真=iStock.com/kuppa_rock
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「体育会出身者は駅伝の選手もそうだが、すごく素直で、自分でも練習メニューを考えて練習するので、自分と同じように実践する人間(部下)ほどかわいい。青山学院大学の陸上部も原晋監督はふだんは練習をつぶさには見ておらず、選手は自分たちでメニューを考えてやっているという。そうした中で、たとえば先輩からダメだと言われると『そうですか』と受け止め、課題点を自分で考える素直さがある。しかし、注意しても言い訳ばかりして、アドバイスしても素直に聞かない部下(後輩)に対して体育会出身の上司ほど一緒にプレーしたくないと思ってしまう。そうすると部下はしだいに職場で浮いてきて、いずれ辞めてしまう」(人事部長)

上司との関係が悪化すれば職場の人間関係もしだいにうまくいかなくなり、仕事への誇りも失ってしまうだろう。

前出の調査では、高評価者のワークメンタリティ不調者の勤務年数別・カテゴリ別の課題選択率も分析している。

不調者ほど組織と会社に対する課題感が高まっている。組織に対する課題とは「職場メンバーとの関係がうまくいっていない」「仕事上の責任の所在が不明確になりやすい」といったものだ。会社に対する課題とは「組織の人事や処遇が不公平だと感じる」などである。

いずれの課題感も入社6~9年目でピークに達している。

つまり、上司や同僚との人間関係や会社の制度・方針に対する不満が高まり、大卒なら28~31歳の時期に退職しやすいということである。

こうした状態になれば、確かにいくらお金で慰留され、会社に残っても長続きするとは思えない。

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