眼鏡をかけている人の心を見抜くには

眼鏡をかけている人からは、何がわかるのでしょう。眼鏡の上から見ることが何を意味するかはご存じの通りで、「あなたを信じられない」とか「承認できない」などですね。交渉中の1時間に3~4回も眼鏡をかけ直すことがありますが、これはパイプを吸う人が常にパイプに火をつけ直しているのと同じことで、彼には考える時間が必要なのです。このような場合、パワーネゴシエーターは、相手がより重要な点を検討している間、話をやめるか、取るに足りない話をすることになります。

誰かが何かを口元に持っていくとき、それが眼鏡のつるであれ、ペンや鉛筆であれ、「もっと栄養を必要としている」と考えてみてください。彼は自分が聞いたものを気に入っているが、もっと聞きたいと思っています。

もちろん、誰かが突然眼鏡を外してテーブルの上に放り投げたら、彼があなたに腹を立てていて、あなたを拒絶したことがわかります。しかし、もっと微妙な合図である場合にも気をつけてください。もし誰かが眼鏡を外してテーブルの上にそっと置いていたら、それはもうあなたの話を聞いていないことを意味します。

メガネを外す人の手元
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

一般的なパーソナルゾーンは45~120cm

ボディランゲージのもう1つの魅力は、コミュニケーションをとるときに、相手にどのくらいの距離を与えるべきかを教えてくれることです。交渉の過程で相手にどれだけ近づくべきかという研究には、「近接学(プロクセミックス)」という名称がついています。

ロジャー・ドーソン、島藤真澄訳『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』(KADOKAWA)
ロジャー・ドーソン、島藤真澄訳『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』(KADOKAWA)

研究者によると、45cm以下が親密ゾーンとのことです。許可なく侵入してはいけません。45~120cmはパーソナルゾーン。120cmを越えると、見知らぬ人とでも安心して過ごせるパブリックゾーンとなります。

ここにはたくさんの変数があります。1つは、相手の国の背景です。私が育ったイギリスや日本のように、人口密度の高い国の出身者は、アメリカ人に比べて人混みの中でも落ち着いています。同時に、私たちは自分自身をより簡単に遮断することができます。広い空間に慣れているアメリカ人よりも、人混みの中でも1人になるのが容易なのです。イギリス人や日本人との距離を縮めても、相手がプレッシャーを感じることはありません。

当然ながら、ロサンゼルスやシカゴ、ニューヨークなどの都市部で育った人と、広々とした田舎で育った人とでは、同様の違いがあります。