※本稿は、ロジャー・ドーソン、島藤真澄訳『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
味方とは席を離して座ると効果的なワケ
交渉上手なパワーネゴシエーターは、交渉の席での席順が結果を左右することを理解しています。
工事担当の副社長と開発会社の社長のように、1人で2人を相手に交渉する場合は、2人の間に座らないように気をつけてください。なぜなら、相手2人の間で視線や合図を交わしても、それをキャッチすることはできないからです。また、当然のことながら、テーブルを挟んだ席の2人では、ボディランゲージを簡単に見ることはできません。しかも、テニスの試合のように頭を前後に動かさなければならないという、居心地の悪い状態になってしまいます。
相手の座る位置をどうやってコントロールすればよいでしょう。まず相手に座ってもらい、自分はテーブルを挟んで反対側に位置するように座りましょう。
大人数で交渉する場合、双方の人数が同じであれば、テーブルの反対側に座るのが一般的です。もし双方の数が不均等であれば、テーブルの片側にいる大人数のグループがもう片側を支配できるように、テーブルの片側に並ぼうとします。しかし、もしあなたが小人数グループであれば、自分のチームの席を離してみるといいでしょう。圧迫感がなくなりますからね。
同じ交渉チームの2人がそばに座っていると、1つの声で話しているように思われがちです。席を離すと、2つの意見を述べているように見え、より強い印象を与えます。自分の味方が1人なのに、相手が3人連れてきて、円卓を囲んでいたら、一緒に座りたくないはずです。
「いつ本題に入るか」相手のOKサインを見抜くには
全員が揃ってテーブルに着いたら、次に考えるべきことはこうです。いつ世間話をやめて、真剣なネゴシエーションを始めるべきか。パワーネゴシエーターたちは、みんなの気持ちを落ち着かせるために、取るに足りない雑談で緊張をほぐすのはいつでもよいことだとわかっています。しかし、いつ本題に入るのでしょうか。
パワーネゴシエーターは、ジャケットのボタンに気をつけます。男性は通常、あなたと一緒にいて心地よさを感じるまで、ジャケットのボタンを留めています。もし、ボタンを留めたままのメンバーがいたら、彼らが手を伸ばしてジャケットの前を開けてリラックスするまで、世間話を続けましょう。
以前、ある結婚披露宴でアンケートをとったことがあります。アンケートをとった人は、その場にいた人が親族なのか、招待客なのかわからなかったそうです。その時、ジャケットのボタンを外していたので、家族の一員として来ていた人を80%の精度で見分けることができました。親族以外は、ずっとボタンを留めていました。