今こそ俊敏なマーケティングの出番
今私たちは、社会や市場の未来を正しく確実に見通すことが、ますます困難になっている。しかし、未来に対応するには、予測に頼らない方法もある。サイモンは、人類が歴史のなかでフィードバックの仕組みを活用してきたことに注目し、社会システムの望ましい状態と実際の状態とのあいだの乖離に応答する「その場その時の行動」を絶やさずに続けていれば、厳密な予測を用いなくとも、環境の変動にシステムを適応させていけることを指摘している。
ワタミをはじめとする各外食企業の模索のように、確実な見通しはなくても、できることがあるなら、行動を始めてみればよいのだ。日々の状況を見ながら俊敏に動き、時には棒に打たれることから、マーケティングの未来は開ける。
(*1)“Marketing Agility: The Concept, Antecedents, and a Research Agenda”, K. Kalaignanam, Kapil R. Tuli, Tarun Kushwaha, Leonard Lee, David Gal. Journal of Marketing 2021 Vol.85(1) pp.35-58
(*2)ワタミ株式会社 第35期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)有価証券報告書
(*3)ワタミ公式サイトより「2020年度 月次推移 展開拠点数情報」
(*4)ワタミ公式サイトより「2021年度 月次推移 展開拠点数情報」
(*5)「『和民』全店など居酒屋120店舗を『焼肉の和民』に転換、今後の主幹事業を焼肉に/ワタミ」(食品産業新聞社ニュースWeb、2020年10月6日)
(*6)『システムの科学』ハーバート・A・サイモン、パーソナルメディア