2022年はフランスの国政選挙に注目

2021年のヨーロッパ政治の最大の注目点はドイツの総選挙だった。4期16年を務めたメルケル首相が率いる保守連合(Union,キリスト教民主同盟と同社会同盟の連合)が惨敗し、中道左派の社会民主党(SPD)を首班とする新政権が成立した。

有権者はメルケル首相の片腕として活躍したSPDのショルツ氏をその正当な後継者に選んだわけだ。

続く2022年のヨーロッパ政治の最大の注目点は、フランスの国政選挙にほかならない。フランスでは4月に大統領選が、続いて6月には総選挙が行われる。フランスでは、大統領選も総選挙も「二回投票制」で行われることに特徴がある。

仕組みはそれぞれで異なるが、死票を防ぎ幅広い支持に基づく政治家を選出しようという意図があるわけだ。

大統領選は4月10日に一回目の投票が行われ、そこで選出された上位2名の候補による決選投票が24日に行われる。現職のマクロン大統領はまだ出馬を表明していないが、もちろん再選を目指すはずだ。

マクロン大統領
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2021年12月17日、ベルギーのブリュッセルにあるEU本部で、欧州連合(EU)首脳会議後にドイツのオラフ・ショルツ首相と共同記者会見に臨むフランスのエマニュエル・マクロン大統領

そのマクロン大統領の最大のライバルに急浮上したのが、中道右派の名門、共和党から出馬するバレリー・ペクレス氏その人である。

イル・ド・フランス地域圏議会の議長を務めるバレリー・ペクレス氏は、自らの3分の1はサッチャー元英首相、3分の2がメルケル独首相と表現し、ヨーロッパの卓越した女性政治家と照らし合わせる。

一部の世論調査はペクレス氏が決選投票に進んだ場合、マクロン大統領に勝利する展開を示唆しており、目下のところ最大のライバルだ。