一般的に言って、答えは「イエス」です。「幹部コーチング」に意味があるかどうかは、もちろんコーチの質に左右されます。特別な資格などが必要ではない職業ですから、なかにはクライアントが聞きたがっていることしか言わないコーチや、自身はリーダーの経験がなく、リーダーシップのこつをあまりつかんでいないコーチなど、いい加減な人材もたしかにいます。そのようなコーチの下で行われるプログラムはもちろん何の役にも立ちません。
しかし、優れたコーチは本当に素晴らしいサービスを提供してくれます。組織のトップにいる人には誰も言ってくれないようなこと――たとえば、「あなたは人の話をあまり聞きませんね」「一匹狼になりすぎています」「取締役会にはへつらっているのに部下にはよくいばり散らしていますね」「あまり優秀ではない一人の社員の進言に頼りすぎています」などと面と向かって言ってくれるのです。彼らは仕事として、このような不快で厳しい指摘をたくさんしてくれるわけです。
肝心なのは管理職がそれに耳を傾けることです。つまるところ、きちんとしたコーチングの最終的な価値というものは、参加した管理職の受け取り能力がどれだけあるかによって、大きくもなれば小さくもなるのです。
(翻訳=ディプロマット 写真=Getty Images)