まず、絶対にビクビクしたふるまいをしないでください。確かに不安に思うでしょうが、リーダーがそれを顔に出したとたんに社員の前向きなエネルギーは失われてしまいます。
将来に向けた準備をし、会社を守る計画をまとめ、最悪の場合、会社の適正な人員規模はどれくらいかを考えてください。仕事を整理し、未来のビジョンを持って現実的な感覚で社員を導くのです。
このような状況下で「透明性」がなぜ大切なのかは説明するまでもないでしょう。会社が何を目指しており、それを達成するために自分はどうするべきかわかっているとき、社員が意欲的になることは、ほとんどの経営者が経験から知っています。
しかし、景気後退期には、経営者が厳しいニュースを端折ったりぼかしたりして、正確な情報を伝えなくなることがあります。最悪の例は、大規模な解雇を発表したのに、詳しい時期や部署、人数を明かさないことです。社員は首を切られるかどうかわからず、宙ぶらりん状態で何週間も、ときには何カ月も放置されることになるのです。
また、幹部が情報の流れを取り締まり、メディアや業界の噂ではじめて会社の状況について社員が知ることもあります。これ以上、信頼を失うやり方はないでしょうね。悪いニュースほど、先に発表することです。
また、「区別化」にも同様のエネルギーを注ぐ必要があります。状況が厳しくなるほど、経営者は限られた資金を「広く薄く」配分するようになります。未来のために資金を投入すべき部署はどれで、犠牲にする必要のある業務はどれかという選択を避け、全部を最低限の資金で生き延びさせようとするのです。しかし、この手法は会社の未来の姿を何も示しておらず、士気や自信を高めることもできません。
(翻訳=ディプロマット 写真=Getty Images)