あいまいにしないことが断り方の基本テクニック
「あいまいにしないこと」が断わり方の基本テクニックです。誰にでも通用するわけではない、しかも真逆の意味合いを持つ「大丈夫」や「結構です」は、とくにビジネスシーンではっきり断わる際には適さない“要注意フレーズ”だと心得ておいたほうがいいかもしれません。
仕事に限ったことではありませんが、同じ日、同じ時間に2つの予定が重なってしまうというケースはよくあると思います。
お店でも、「来週末、同じ日にA社とB社のゴルフコンペが重なっちゃって……。あちらを断わればこちらに悪い。こちらを断わればあちらに申し訳が立たない——体はひとつしかないし、困っちゃうよね、こういうのは」
お客さまのこんな“ボヤキ”を聞くことは珍しくありません。「そういうときはどうされるんですか?」とお聞きすると、多くの方が、「誘われたのが早かったほうに出る」とおっしゃいます。
このように、同じ日にA社とB社のゴルフコンペが重なった、A社とB社の新製品発表会が重なった、A社とB社の忘年会が重なった——こうした予期せぬダブルブッキングが発生し、どちらかを断わらざるを得ない場合、どうすればいいか。
お客さまのおっしゃるとおり、「先に声をかけてくれたほうを優先する」というのが、いちばんフェアな方法でしょう。先にA社との約束が成立している場合、その後からのB社の誘いに対しては、
と正直に伝えるのが、後の関係にもっとも悪影響を及ぼさない最善の断わり方なのです。
「ほかの予定あって」とウソをつくのは最悪
いちばんよくないのは、前述したように両者に気を遣ってつい「ほかの予定があって」とウソの予定で断わることです。
例えば、A社のコンペに出るために、B社には「その日は出張が入っておりまして」とウソを言って断わったとしましょう。でもそういうウソはどこからバレるかわかりません。もしかしたらA社のコンペにB社ともつながりのある人が参加していて、その人からあなたがいたことがB社に伝わらないとも限らないでしょう。
「そんなこと滅多に起こらない」と思うかもしれませんが、不思議なもので、ウソを言って断わったときに限ってその“滅多なこと”が起こるものなのです。
そうなったらウソをつかれたことへの憤りに加えて、「ウチとA社を天秤にかけて向こうを選んだ」「ウチはA社よりも軽く見られている」と“あらぬ誤解”を招くことになり、後々の仕事に影響が出てくることは必至です。
英語にも「First come, first served(先に来た人が、先にもてなされる)」という言葉があります。下手なウソをついてごまかさず、「決して両者を比較したり、天秤にかけたりしたのではなく、あくまでも時間的に早かった順番に対応している」というスタンスを伝えて断わる。そうすれば相手も「それならば仕方がない」と納得してくれるはずです。