コンビニ大手3社の「女性の視点」の違い

例えば、「お母さん食堂」というブランド名にゴーサインを出したファミリーマートは女性役員ゼロだ。また、「サステナビリティ報告書2020」によれば、2019年度の管理職は630名のうち女性は30名(4.8%)にとどまっている。

一方、セブン&アイ・ホールディングスの「CSRデータブック2020」によれば、セブン‐イレブン・ジャパンの2019年度の女性役員は4人(13.3%)で、女性管理職(課長級以上)は217人(21.6%)だ。また、「女性活躍企業ランキング」などでいつも上位にいるローソンもホームページによれば、2019年度に女性役員は5人(41.67%)、女性課長職は111人(10.27%)、女性部長職も16人(9.3%)いる。

もちろん、企業の女性管理職比率を高めれば「言葉狩り」がされないなどと言うつもりは毛頭ない。しかし、男性しかいないファミリーマートの役員会でゴーサインを出された「お母さん食堂」というブランド名は、おそらくセブンやローソンでは通らなかったのではないか。

モノが売れないと「社会がどう思うか」が忘れられる

ダイバーシティという掛け声は勇ましいが、日本企業はまだゴリゴリの「男社会」であるケースが多い。そんな企業が発する言葉やメッセージは当然、女性の視点が欠如する。だから、ジェンダー方面の「言葉狩り」に遭う。自然の流れだ。

日本企業はどうしても、「われわれが良いと感じるモノを売る」というプロダクトアウトの発想が強い。だから、商品名やブランド名なども、社会がどう思うかより、自分たちが望む方向性のものがつけられる。その“ひとりよがり的なネーミング”が「言葉狩り」を助長している側面もあるのだ。

モノが売れなくなると、もっといいモノを売らなくては、とプロダクトアウトの傾向がさらに強くなる。もっとインパクトのある表現で、もっと刺さる言葉で、という意識が強くなると当然、ジェンダーや人権などの配慮は消えていく。

日本経済の低迷が続く中で、これからも「言葉狩り」は増えていくのではないか。

【関連記事】
名車「クラウン」があっという間に売れなくなった本当の理由
「取りやすいところから徹底的に取る」政府がたばこの次に増税を狙っている"ある嗜好品"
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
「61歳でコロナ失業」元高級ホテル幹部が人生初の"レジ打ちバイト"で得た自信
「ほぼ100%の人が目を覚ます」タクシー運転手が酔った客を起こすときに使う"奥の手"