ミスを過大に捉え、自分のせいにしてしまう

【拡大視・縮小視】

仕事上のミスのような自分に都合の悪いことは過大に捉え、逆によくできていることを過小に考える「拡大視・縮小視」もまた適応障害を起こしやすい思考パターンです。

一度遅刻したぐらいで「会社にとって私はお荷物だ」と思い込み、いくら周囲が「たいしたミスではない」「あなたは普段から十分に活躍してくれているよ」と励ましても聞く耳を持たない――これは自分のミスを拡大視した例です。

仕事がうまくいっている時でも「こんな仕事は大した価値がない」と考えたり、難関資格を持っていても「こんな資格は誰にでも取れる」と思ってしまう――これは縮小視です。

このような考え方により自己評価をどんどん下げてしまうことで現実との間にストレスが生じた時に、適応障害になるのです。

電話対応をしながらパソコンを操作する女性
写真=iStock.com/byryo
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【自己関連付け】

「自己関連付け」とは、自分とは関係があるとはいえない出来事までもすべて自分に関係があるものとして考えてしまうことを言います。

たとえば自分がかかわるプロジェクトでトラブルが発生した場合、その責任はまずプロジェクトのリーダーが負うものですし、細かく見ていけば決して誰か一人だけが悪いということではなく、さまざまな要因が絡み合ってうまくいかなかった場合がほとんどです。

「高年収は勝ち組、低年収は負け組」という発想

ところが自己関連付けの気質が強い人は「自分がもっと頑張らなかったせいだ」「あの時こうしていればよかった」などと自分と結びつけ、それによって自分を追い詰めてしまいます。「責任感が強い」とも言えそうですが、実際には一種の自己満足(あるいはその裏返し)にすぎません。

逆に、皆で成功させたプロジェクトであっても自己関連付けの気質が強い人だと「これは自分の成果だ」と考えたりします。そのような身勝手なまでの前向きさは適応障害やうつ病と無縁のようにも思われますが、しかしこれは「自分が悪い」という思考パターンと表裏一体のものですから、一度失敗してしまうと一気に落ち込んでしまうことになりかねません。

【レッテル貼り】

勝ち組、負け組など、わかりやすいラベルを貼って物事を判断することを「レッテル貼り」と言います。他者に対してだけではなく「おれは落伍者だ」などと自分にレッテル貼りをして勝手に落ち込んでしまう人もいます。

レッテルにたいした根拠はありません。高年収が勝ち組で低年収が負け組だとレッテルを貼ったところで、そんなものは人間の特徴の一部を切り取り単純化したものにすぎません。