「こんな道もある」と模索できる人はストレスに強い
たとえば、「主婦なのだから、家事は全部私がやらなければいけない」と思い込んでしまうと、それができなかった時にはストレスを溜め込んでしまいます。しかし「ほかにもたくさんの生き方がある」と考えられるようになれば、これが適応障害やうつ病の予防になることがわかっています。
「幸せになるにはこの道しかない」と思い込んでいる人よりも「こんな道もある、あんな道もある」といろんな道を探せる人のほうが、きっとストレス負荷の少ない人生を送ることができるでしょう。
「出世レースで負けた官僚が自殺した」というような話を聞くことがあります。すると多くの人は「あの人は挫折を知らなかったから、ショックだったのだろう」と言いますが、これは挫折を知らなかったからではなく、正確には「挫折をしたあとの生き方を知らなかった」ということなのだと考えられます。
「自分は官僚として出世するべきである」との考えに固執してしまったために、それ以外の生き方ができなかったというわけです。大学の先生にでもなればいい、テレビのコメンテーターにでもなればいい、外資に移って金を稼ごうなど、他の選択肢があれば自殺することにはならないはずです。
「いつも」「みんな」…口癖のように言っていないか
【過度な一般化】
「過度な一般化」とは「○○がそうだったから」と一部の事実だけを取り上げて、それを「いつも」「みんな」「絶対に」などと、広く一般化してしまうことを言います。
未成年による殺人事件が起きると「最近の子どもは、キレやすい」などと言い出すのはその顕著な例です。実際に警察庁の統計データを見ると、少年犯罪の人口あたりの件数は1980年頃をピークにして近年はむしろ減少しています。
また、東京でコロナの感染者が増えているからといって、一足飛びに「日本人全体が危ない」などと危機感を煽るのもおかしな話です。すでにコロナがおおむね収束している地域がいくつかあるからです(2021年7月時点)。
「プレゼンでミスをした。私はいつも大切な時に失敗するんだ」「同僚があいさつをしてくれなかった。みんな私を嫌っているに違いない」などと考えてしまうのも過度な一般化の例です。