適応障害(ストレス性障害)は、自覚症状のないケースが多い。精神科医の和田秀樹さんは「適応障害は遺伝要因よりも、その人が受けてきた教育やしつけの影響のほうが大きい。たとえば何でも二分割で考える人は危ない」という――。

※本稿は、和田秀樹『適応障害の真実』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

薄暗い寝室で頭を抱える男
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なんでも白黒はっきりつけたがる人は注意

日本において適応障害は一番予備軍の多い病気かもしれません。

「適応障害になりやすい人」という言い方が正しいのかどうかはわかりませんが、「なりやすい思考パターン」は確かにあります。

適応障害になりやすい人は、以下に挙げるような「なりやすい思考パターン」を持っている場合がほとんどで、いわゆる遺伝的な原因による病気ではありません。遺伝要因よりも、その人が受けてきた教育やしつけの影響のほうが大きいのです。治療にあたっては、「認知療法」によってそのような思考パターンを矯正していくことになります。

【二分割思考】

「二分割思考」は、適応障害になりやすい思考パターンのなかでもとくに代表的なもので、なんでも白黒はっきりつけようとする考え方のことを言います。

近年はとくに多くなっているようで「正しいか間違いか」「イエスかノーか」「敵か味方か」「善か悪か」というようにとにかく物事を単純化して決めつけてしまうのです。曖昧な状態は不安で気持ちが悪く、どちらか一方に決めつけないではいられません。

「即断即決」で一見優秀な考え方のようだが…

しかしながら、世の中は簡単に白黒つけられないことばかりで、グレーゾーンのほうがずっと多いのです。どんなことであっても敵か味方かというのははっきりとわからないものです。「あいつとは30%ぐらい意見が合わないけど、70%は嫌いじゃないんだよな」などと、どこか曖昧でグレーな状態にあることのほうが普通ではないでしょうか。

「子どもを褒めて育てるか、叱って育てるか」というのは、どちらが正解とは言い切れない問題です。たとえば「褒めて成績が上がる子が70%で、叱って成績が上がる子が30%」というデータがあったとして、「70%だから褒めるのが正解だ」と決めつけてしまうのが、まさに二分割思考です。

現実には自分の子どもがその70%のほうなのか、それとも30%のほうなのかはわかりません。本当は30%の叱られて伸びるタイプだった時に「70%が正解」と褒め続ければかえってマイナスになるかもしれません。

「子どもは叱るよりも褒めるほうがいい」と白黒はっきりつけるほうが、自分自身は楽になるのでしょうが、他の可能性を考えず安易な答えに飛びついてしまうと、それが原因で子育てに失敗したり、ストレスを溜め込むことにもなるのです。

二分割思考は「即断即決」のように見えることから、これを優れた考え方のように思う人もいるでしょう。しかし即断即決と「しっかり考えたうえで白黒つける」のは別物です。