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<strong>弁護士 岡村久道</strong>●日本の情報ネットワーク法の第一人者として知られる。著書に『情報セキュリティの法律』など。
弁護士 岡村久道●日本の情報ネットワーク法の第一人者として知られる。著書に『情報セキュリティの法律』など。

著作権法の一部が改正され2010年1月より施行されます。一番の大きなポイントは、海賊版の音楽ファイルや映像について、これまではアップロードする側だけに著作権侵害が適用されていたのが、受け手側の責任も問われるようになったこと。つまり、ダウンロードすることが違法となります。

従来は「私的使用を目的とする複製」、つまりファイル共有ソフトなどを使って自分のパソコンや携帯にデータを落とし込んでも、プライベートで楽しむ分には例外として認められていました。ところが、高速・大容量のインターネット通信の普及とともに、著作権者の許諾なく違法配信を行うサイトが増えると同時に、「Winny」をはじめとするファイル交換ソフトの登場で、誰もが簡単にコピーできるようになってしまった。違法コピーが蔓延するインフラが想像以上に早く整ってしまったことが、法改正の背景にあります。

「Winny」を利用した音楽ファイルや映像のダウンロードはもちろん違法となりますが、「着メロ」「着うた」も気をつけなければなりません。レコード会社などが運営する正規サイトからのダウンロードは合法ですが、非正規サイトやファイル交換ソフトからのダウンロードは違法となります。

日本レコード協会の調べによると、携帯電話向けの音楽ファイルのダウンロード数は正規事業者からの配信数3億2900万曲に対して、非正規サイトからのダウンロード数が推定4億曲(08年)を超えてしまった。これでは著作権者の権利を保護できないということで、私的使用を目的とする複製にも適用が拡大しました。