キング・カズに見る一流の絶対条件

はたからしたら、僕はバランスが取れているように見えるかもしれないけれど、これは精一杯偏った僕なりの結果。まだまだ未熟な僕の通過点。もっともっと好きなことを追求していきたいと思っています。

もちろん協調性やバランスも大切ですが、実社会では意外と偏った人=スペシャリストが重宝されてはいませんか?

新しい発見や感動なんて、多分ただバランスがいいだけの人からは生まれないんじゃないかな。

ノーベル賞を取る研究者だって、オリンピックで活躍するアスリートだって、人生を懸けて究極に偏った結果ですもんね。

キング・カズ(三浦知良さん)が50代になっても現役で頑張っているのは、「日本代表になってW杯で戦いたい」という夢を諦めていないからだと勝手に思っています。

スタジアムの芝生の上のサッカーボール
写真=iStock.com/NiseriN
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1998年のサッカーフランスW杯では、日本のW杯出場にあれだけ貢献したのに、直前になって日本代表からはずれ、W杯の経験を逃しています。

あのときもし代表に選ばれてW杯のピッチに立っていたら、もしかしたらすでに引退してサッカーとは関係のない仕事で活躍されていたかもしれない。それがなんであれ、おそらく成功していたでしょうが、彼はそうしなかった。現役のサッカー選手でいることを今も選択し続けています。

今後その夢が叶うか叶わないかで判断せず、叶うとしたら準備ができていなければありえないと判断しているのではないでしょうか。先の見えない状況で、肉体的にも精神的にも夢への準備をし続けられるのは、一流の絶対的な条件なのでしょう。

完結したと思っていた上野由岐子投手の伝説

東京2020オリンピック。なにに驚いたって、それはもう、女子ソフトボール日本代表チームのエースとして、上野由岐子投手がまだ投げていたことです。

失礼ながら、彼女のソフトボールの物語は、2008年の北京オリンピックの準決勝、決勝進出決定戦、決勝戦という2日間3試合413球を投げ抜き、見事金メダルを獲得して完結したものだとばかり思っていました。北京オリンピック以降、ソフトボールは公式競技からはずされることも踏まえ、有終の美を飾り、伝説になったんだと。

しかし、公式種目として久々に復活した今回も、決勝戦で金メダルが決まった瞬間、マウンドに立っていたのは上野投手でした。

「13年越しの連覇!」

いやいやいや、そんな言葉あります? 連覇って、翌年か翌大会に使う言葉でしょ。いろいろぶっ飛びすぎていて、頭がついていけなくて涙しか出ませんでした。