もう、考え方が金メダル
調べたら、2019年の国内のリーグ戦でピッチャーライナーを左顎に受け、下顎骨骨折で全治3カ月の大怪我をしています。普通なら競技をやめる理由にしかならないような出来事ですが、上野投手の見解は「北京で金を獲ってから、惰性でやっていたのを神様が怒った」「東京2020に向けてスイッチが入った」と。
もう、考え方が金メダル。
自分に起きるどんなことも、前に進む原動力に変えられる心のフィルターこそ、上野投手の強みなのではないでしょうか。
直後のインタビューでは「諦めなければ夢は叶う」と、シンプルで力強いメッセージ……。
僕らは何度、あの方から大切なことを学ぶのでしょう。
よく13年間、オリンピックという大きな目標もないまま、同じ夢を自分の夢として掲げ続け、追い続けられたなと、ただただ敬服します。
「これからソフトボール競技はなくなりますが、諦めることなくしっかり前に進んでいけたらいいなと思います」って……続けるんですね!!
その言葉に、得も言われぬ力が湧いてきます。
人生が続く限り挑戦する。こういう人間でありたいと思います。
眠っている才能や気づいていない特性はある
「自分にはなんの才能もない」って、一体誰が決めたの?
決めつけているのは自分かも。
才能なんてなんにもないほうが、人生の冒険に踏み出さなくてよくて、安心できるからでしょうか。
本当にそれでいいですか?
僕が人よりベンチプレスを多くの回数持ち上げられるなんてことを知ったのは、45歳のときでした。
それから、ありがたいことに再ブレイクと呼ばれる華やかな時間を過ごしています。
眠っている才能とか気づいていない特性って、本当にあるものですよ。
「君が凡人って誰が決めた? 君が試していないだけでは?」とこっそり耳打ちしたくなります。
凡人という人間はいない。みんなが特別な一人なんですから。
無駄なことにしか感動はない
子どもの頃にテレビで観ていた変身ヒーローたちは、みんな人助けをしていました。ここぞという場面でカッコよく現れて、悪を倒す。
大人になって思うのは、目の前で危機的な状況が繰り広げられたり、犯罪行為に出くわすことなんて、ほとんどないってこと。
どうやったらヒーローになれるか、人の役に立てるかを考えるけれど、答えなんて簡単に出ません。
でもヒーローになるのを諦めるのではなく、やれることをコツコツとやる。日々仕事をする。そして、きちんと納税する。そのお金が誰かの役に立っていると信じて。信じられないときは、ちゃんと政治に向き合う。
子どもの頃の想像よりはるかに地味だけれど、きっとこれもヒーローなんだと思うのです。