ピンクのマスクの辻元清美議員
筆者提供
ピンクのマスクの辻元清美議員

週明けの10月11日。赤木雅子さんは朝早くから新幹線で東京へ向かっていた。この日、衆議院本会議で行われる代表質問を傍聴するためだ。報道各社には事前に、立憲民主党の辻元清美議員が代表質問で雅子さんの“総理への手紙”を読み上げること、それを傍聴した後、取材に応じることを伝えていた。

冷やかだった麻生前財務大臣の反応

でも、どのくらい取材に来てくれるだろう? 麻生前財務大臣は先月の記者会見で再調査について「読者の関心があるのかねえ?」と冷ややかに語った。世間の関心があるのか、雅子さんにも自信がなかった。

ところが報道各社から次々に問い合わせの電話が入る。議場に着くと取材席のテレビカメラが傍聴席の雅子さんを狙っている。かなり関心がありそうだ。

午後3時過ぎ、辻元議員は代表質問で、赤木雅子さんと初めて面会したことを明かした。その時に受け取った“総理への手紙”のコピーを取り出し、全文を読み上げて紹介した。傍聴席の雅子さんは身じろぎもせず、じっと手元のハンカチを握りしめたまま聞いていた。

辻元議員の質問には普段、自民党議員のヤジが激しく飛ぶが、手紙の朗読中、議場は静まり返り、誰一人ヤジを飛ばす議員はいなかった。手紙を読み終えると辻元議員は岸田総理に向き直った。

「どんな思いでお手紙を出したのですか? と(雅子さんに)お聞きすると、『岸田総理は人の話を聞くのが得意とおっしゃっていたから、私の話も聞いてくれるかと思い、お手紙を出しました』とおっしゃっていました。総理はこのお手紙、どのように受け止められましたか? 総理、お手紙で求めていらっしゃる『第三者による再調査』、実行されますか?」

岸田総理は答えた。

「御指摘の手紙は拝読いたしました。その内容につきましては、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います」

手紙を読んだことを認めたが、対応については……。

「今現在、民事訴訟で法的プロセスに委ねられていて、返事などは慎重に対応したいと思っています」