それだけではない。都内近郊の生中継も2チーム。東京大学法学部卒の篠原梨菜アナウンサーをメインに、近隣の朝の表情をきっちり映し出す。

生中継を多く入れることの現場の大変さを考えると、スタッフには相当の負担だ。でも、お天気キャスターか事件現場くらいの生中継しかやらない他局とは、最も大きな差である。

最後に、安住&香川というおじさんふたりの加齢臭を消すために、シマエナガのぬいぐるみキャラを使った時計を設置。他のレギュラーもかなり若手を起用。

生ピアノ演奏はYouTuberピアニストのまなまるとけいちゃん。話題にあった音楽を臨機応変に生演奏してくれる。

坂系のアイドルや新人俳優をスタジオ内のスタンドに配置し、その日発売の新商品や雑誌、トレンドを紹介。若さと新しさの追求は日テレの傾向に近いものがある(ただし、聞き手はおじさんなのでいい意味で相殺)。

生中継による「臨場感」や「地域性」を引き出すには、やはり安住無双。夜の新橋で酔客相手に腕を磨いただけある。

また、芸能事務所に媚びたがために対話がうわっつらになりがちなスタジオに、やんわりと毒気とツッコミを盛り、中年の悲哀を漂わせつつエンタメ性ももたらす安住は、最強の刺客となった。

香川をはじめ俳優を多数起用する深いワケ

では香川はどうか。昆虫ネタはありだが、ボクシングネタには触れさせない巧みな構成で、圧と長広舌を封印した感はある。しかも進行は江藤愛・杉山真也・宇賀神メグの「TBSアナの3守護神」が完璧にフォロー。香川投入の意義は何なのか。

TBS放送センター
写真=iStock.com/winhorse
※写真はイメージです

実は「THE TIME,」が起用したのは香川だけではない。「朝活RUN」なるコーナーでは、吉田羊や比嘉愛未を走らせて爽やかに時刻を告げる。

人材は週替わりのようだが、俳優陣を登場させることでドラマ宣伝にもつながる。

また、dボタンで生年月日を登録すると、毎朝7時にゲッターズ飯田の占いが届くらしい。このやり方を解説するために、まさかの江口のりこが登場。安住と夫婦設定で小芝居をうったのだ。

「ドラマのTBS」という矜持を改めて徹底するために、「日曜劇場」御用達の香川を囲い込み、安住が「ぴったんこカン・カン」で培った俳優人脈も取り込む。

情報番組は炎上はしてもバズることはないが、ドラマであれば広くあまねく末永く話題に上がり続ける可能性がある。そこも踏まえての俳優起用なのかもしれない。

もちろん、ただの客寄せパンダではない「モノ言う俳優枠」の拡大ともとれる。

時間帯は違うが、「めざまし8」で俳優の谷原章介が暗躍し、ネットニュースで取り上げられることも増え、謎のご意見番的存在になりつつある。

観ていなくてもネットニュースに「香川照之が○○」と見出しが打たれたら、昆虫オタクの子供たちも、ドラマ好きのおばさん(私)たちも、ボクシング好きのおじさんたちも、歌舞伎役者を愛する御贔屓筋も、うっかりクリックしちゃうもんね。

他局にはない品ぞろえをしたTBSの戦略勝ち

天気&エンタメ重視・生中継多数・生ピアノ演奏に、おじさんコンビ。

媚びも喧嘩も売らないが刺すところは刺す安住と、話題性十分だが第二の張本勲となる危うさもうっすらはらむ香川。他局にはない品ぞろえだ。

TBSの戦略は今のところ間違ってはいない。ジャニーズ最優先のジャ日テレ、早朝から覚醒している高齢層向けのテレ朝、絞りどころが曖昧なフジが、今後この品ぞろえにどう対抗していくのか。

数字ではなく、情報の質、話題性や定着の度合いなど、1年後に判断したい。

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