日テレの「ZIP!」のスタジオには偽善しかない

まず日テレの「ZIP!」。今年の春から水卜麻美をメインに据え、10年の歴史と人気を維持。ファストフードやコンビニの新商品やインスタ映えスポットをこぞって紹介するあたり、他局よりも若年層狙いが明らかだ。

生中継のコーナーもわずかではあるが、存在する。系列局のアナウンサーが地元の情報をこぎれいにまとめて伝えるものの、往年の「ズームイン‼朝!」ほどの土着感と臨場感はない。

曜日パーソナリティーに新しく投入したのが、よりによってDAIGO。相変わらず紹介時に竹下登の写真が登場するのだが、「プレミアム社会科見学」と称して、子育て世代へのイクメンアピール企画を担当。皮のグローブを外して、グレーのスーツを着ていると普通におっさんなんだなと妙な安心感も。

なんつってもジャニーズ事務所まみれ、というか、King & Prince推しが甚だしい。キンプリファンは毎朝確実に楽しめる至福の番組。報道そっちのけの朝番組としては群を抜いて潔い。とにかくキンプリ、何が起きてもジャニーズ枠を最優先。

芸人や俳優を週替わりのパーソナリティーに呼び、エンタメ情報に時間を割く傾向も強い。

スタジオには偽善しかない。中身のないコメント、台本通りにうわっつらだけで対話するスタジオの空気は穏やかで、爽やかな早朝にふさわしい。

意外と報道魂が感じられる「めざましテレビ」

次に、フジテレビの「めざましテレビ」だ。キリのいい時刻に必ず星座占いで今日の運勢をやっているので、これをルーティンにしている人も少なくない。

月替わりプレゼンテーターとして若手俳優やアーティストを迎えているので、意外とコアなファン層がチェックしているかも。そう書くと、フジテレビらしいチャラい印象がするかもしれないが、意外と報道ベース。

時間が限られた朝番組で伝えるニュースは、たいてい大ネタがメイン。しかも5時台、6時台、7時台に同じモノを入れる。

他局が「岸田内閣」「ノーベル賞」「震度5強の地震」をメインに据え、小さなニュースを割愛する中で、めざましテレビには報道の魂が垣間見える。「大河俳優わいせつ罪」とか「高級ようかん窃盗の瞬間」とかね。横並びの大ネタよりも香ばしい小ネタも報じる姿勢、嫌いじゃない。

あとは交通機関の運休など重要な情報は、アナウンサーの顔そっちのけで、ドデカ文字で知らせるところもいい。他局は小さく流し込んだり、手書きもあった。フジテレビの印象からすると意外でしょ? でもひそかに優しい。

ジャニーズ事務所に魂を切り売りしたコーナーもあるが、ロケ敢行など汗かいて作っている。日テレほど盲従大安売りではない。

エンタメ多め・ネタも若めだが、ニュースの幅広さと三宅正治アナの重鎮感で相殺。以前はトップを走る人気番組だったが、ややくたびれた感も否めず。全国的に猫ブームの令和にあえて「きょうのわんこ」を貫くあたりは「継続は力なり」として評価したいところ。