相手を不快にさせずに断るにはどうすればいいのか。『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)を出した心理研究家の津田秀樹さんは「角を立てずに『ノー』を伝えるには4つのポイントがある」という――。

※本稿は、津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)の一部を再編集したものです。

断るスキルを身につけて自分を守る

会話やコミュニケーションの悩みにはさまざまなものがありますが、特に難易度が高く悩む人が多いのが、相手からの誘いや依頼を断ることです。

同僚からの書類を拒否したいビジネスマン
※写真はイメージです。(写真=iStock.com/fizkes)

みなさんのなかにも苦手としている人が多いのではないでしょうか。

しかし、きちんと断ることができないと、余計なことまで引き受けてしまって後悔したり、相手を怒らせてしまい人間関係に問題が生じるなど、より大きなストレスの原因になってしまいます。できないことをできないと伝えるのは、特に仕事においては、かなり重要なコミュニケーションスキルと言えるでしょう。

今回は拙著『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)より、相手を不快にさせることなく、上手に断るコツをお伝えしたいと思います。

断り下手がやってしまいがちな2大失敗パターン

何かを断るときにまず大事なポイントは、こちらの2点です。

ポイント(1)返事を引き延ばさない
ポイント(2)本当は嫌なのに我慢して引き受けたりしない

断るのが苦手な人がついやってしまいがちなのが、「ちょっと考えさせてください」「あとでお返事します」などの時間稼ぎです。

断り切れなくて、とりあえずその場を逃げようとしてしまう、あるいは時間を稼いで断るためのうまい言い訳を考えよう、という場合もあるでしょう。

でも、そのあいだ相手はほかの人を探したりほかの策を考えたりせず、ずっと待っていることになります。ですから、断られたときに「だったら最初から言ってくれればいいのに。時間を損した」と思ってしまいます。待たせた分だけ、かえって相手の感情を害してしまうのです。

断るのが苦手な人が、さらによくやってしまいがちなのが、本当は嫌なのに我慢して引き受けてしまうことです。相手から嫌われたくなくて、「自分が我慢すればいいんだから」と、自分の気持ちや都合を犠牲にしてしまうのです。

それで我慢できるうちはいいかもしれませんが、いつかは限界がきてしまいます。

あなたの手に余ることを頼まれても断れず、結局こなせなくて信頼を失うかもしれません。あるいは、あなたの中に、頼みごとをしてくる相手を恨む気持ちが生まれ、より大きなストレスになってしまうかもしれません。