また、いったん引き受けておいて「やっぱり無理です」とあとから断れば、最初から断る以上に相手の怒りを買うのはいうまでもありません。
いずれにせよ、大切にしたいはずの他人との友好的な関係を、自分の手で壊してしまうことになるのです。そうならないためには、断りたいことは、最初からきっぱり断ることが大切です。
相手を不快にさせない「ノー」の言い方
では、うまく断るためにはどうしたらいいのか。
人に何かを頼んで断られたとして、腹が立たないのはどういうときか……相手の立場に立って考えてみることが大切です。
最初から無理だということがはっきりしていて、その事情が納得でき、断った側も申し訳なく思ってくれていて、なおかつ断られても困らないときです。これなら、しょうがないなと思えるでしょう。
つまり、断るときには「最初からはっきり断る」+「断る理由や事情をちゃんと説明する」+「謝る」+「相手が困らないように代案を出す」というやり方を取ればいいということです。
例えば、用事があって早く帰りたい日に、上司や同僚から残業を頼まれてしまった場合。
○ すみません、今日は予定があって無理ですが、明日なら大丈夫です
×の例のように、「無理です」とだけ言われてしまうと相手はムッとしてしまうかもしれませんが、○の例のように「はっきり断る」+「理由」+「謝罪」+「代案」という4つのキーワードが入っていれば、相手もこちらの気持ちや事情を理解してくれるはずです。
順番はこの通りでなくて構いませんので、4つを上手く盛り込むようにしてみましょう。断り上手な人は、このキーワードをうまく使うことで、角を立てずに断ることができているのです。
相手が困らないような代案を出せないときには、「相手が損をしないように」という視点で考えてみましょう。断られることで相手は当てが外れるわけで、損をしたと感じます。それを別の形で埋め合わせすることを提案するのです。
例えば、「すみません、今日は予定があって○○業務のお手伝いはできないのですが、代わりに来週の××会議の資料は私の方で準備しておきます」というような言い方です。
これなら、相手は損をしないので、嫌な気持ちになることもないでしょう。
なお、代案も埋め合わせも難しい時には、困っている相手と一緒になって、どうしたらいいかを考えてあげるようにしましょう。親身になって考えてあげれば、あなたのその気持ちが伝わり、それだけでも相手の気持ちはほぐれます。