2021年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。ライフ部門の第3位は——。(初公開日:2021年4月17日)
田舎暮らしではなにに気をつけるべきか。ライターの柴田剛氏は「移住サイトなどにある情報を信用しすぎてはいけない。自ら現地を訪れるだけでなく、元住民に話を聞いてみるといい。その地域の独特の風習がわかることもある」という――。

※本稿は、柴田剛『地獄の田舎暮らし』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

口を手で押さえ、言葉をグッと飲み込む男性
写真=iStock.com/kimberrywood
※写真はイメージです

親切にしてくれた村役場の担当者

インターネット時代の今、田舎暮らしブームでの物件探しを支えるのが「移住サイト」だ。ある自治体では、移住問い合わせの9割近くがある移住サイトを経由してというほどの人気サイトもある。

移住サイトによっては、アクセスすれば、移住したい先の空き家物件が地域ごとにわかるばかりか、民間保有の物件でも、各市町村が窓口になっているため、半ば公共サイトとして認知され、信頼度も高いものもある。

市町村の窓口の多くは観光課や地域振興課なので、電話をかければ、物件を保有する業者への紹介だけでなく、それぞれの地域の暮らしぶりや生活環境などの情報を教えてもらえるのが強みだ。

いずれは農業をと考えていた40代のKさんはある移住サイトから知ったA県のある村に新天地を求めた。

人口1000人弱のその自治体には、移住サイトで物件があることを知り、春、夏、秋と何度か訪れた末に、村役場の担当者らからも話を聞いた。役場では就農したい者にはその斡旋もしてくれるという話だった。

「移住希望というと、実に懇切丁寧でした。役場の車で空き物件をそれぞれ案内してくれただけでなく、教育長といった立場の人間までもが、村の歴史などを自ら丁寧に教えてくれて、谷間の山村なのに、実に人情味あふれていて安心できました」(Kさん)