では勉強しよう、読書に時間を使おうということになる。行政サービス、無料の図書館へ赴こうとなるわけです。これは残念ながらペケ。まず身になりません。本は本屋で買う。これが鉄則です。

不思議なもので、本の内容は身銭を切らないと決して頭に入らないのです。ブックオフを利用してもいいから、身銭を切ること。3000円のうちの200円でも500円でも投資する。すると切実さが違ってくる。自然と一所懸命に読もうという心構えになります。

ぼくも給料が3万円のときに、無理をして5万円の本を買いました。そうやって手に入れた本は、大切に舐めるように読んだものです。読み終えて本棚に納める。ときおり背表紙を眺めれば、必死でページをめくったときのことが思い出されます。思い出が本棚にずらりと並んでいく。案外、厳しい条件下での経験が、その後の人生を豊かにしてくれるのですね。

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小遣いの使い道として、必要不可欠なものは何か

先ほど洋服の話が出ましたが、衣類にはお金をかけません。このジャケットも3000円。高そうに見えるでしょう。本郷の洋品店で見つけたのです。恥じることなくユニクロのシャツも好んで着ています。

大事なのは服の値段ではなく着方です。決して不潔にならないこと。日に2度は風呂に入るし、シャツは一度袖を通したものはクリーニングに出す。清潔にして清潔なものを着ると、自ずと背筋が伸びるものです。緊張感が漲るので、安い服には見えない(笑)。

まとめると、お金がないことを悲観しない。自分の生き方を再評価する大チャンスだと思えばいい。ただし、ライフスタイルの点検は必ず自分で行うこと。冒頭の酒やタバコの件でも、人から言われて直るものじゃない。自分で気付き、猛省し、実践する。すると必ず身になるのだと思いますね。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=須藤靖貴 撮影=岡本 凛)