割安感では太陽光発電に軍配
世界初の家庭用燃料電池「エネファーム」が2009年春に発売された。次世代のクリーンエネルギーを担う新装置はどんなものか。
自宅に設置されたエネファームは、まず都市ガスなどから水素を取り出し、それと空気中の酸素を化学反応させて発電する。仕組みも面白いが、そのときに発生する熱を利用してお湯も同時に沸かせるシステムに注目したい。お湯は約60度で200リットル(約風呂2杯)分を貯められ、入浴時はもちろん台所やトイレ、洗面所の給湯に使用可能。家庭でのほとんどの給湯需要をまかなうことができる。
画期的なのは発電時に温室効果ガスをほとんど出さないこと。自宅発電で環境保全に貢献できる。その点がエネファームと太陽光発電の共通点。蓄電できず、マンションに設置できない点も同じだ。
では、相違点は何か。それは、エネファームは売電できないが、太陽光発電はできること。電力会社による太陽光発電の余剰電力の買い取りは以前からあったが、09年11月からその買い取り価格が2倍程度になった。
発電機能を詳しく比較してみよう。まず、エネファームは天候に左右されずに発電できるが、停電・断水時は稼働できない。貯水槽を置く空間も必要となる。次に、太陽光発電は停電時でも発電できるが、天候に左右され夜間は発電できず、屋根の形状や日照時間などによる地域格差が大きい。
一長一短といったところだが、コスト面はどうだろうか。エネファームの価格は320万~346万5000円(別途、ガス・給水・給湯の工事が必要)。初期投資額がかなり高いが、補助金が国から最大140万円のほか、23の地方自治体からも出るので(東京・江東区は最高40万円)、実質的な負担金は160万~200万円台前半となっている。
太陽光発電システムもイニシャルコストは200万円程度かかるが、発電量に応じた国からの補助金(1kW当たり7万円)や、309自治体からの補助もあり、100万円台後半で購入できる。