企業の景況感と、個人のそれは別物

三菱UFJ証券チーフエコノミスト 水野和夫●1953年生まれ。80年、八千代証券(現三菱UFJ証券)入社。2005年より現職。著書に『金融大崩壊』ほか。

景気はいつ回復するのか、という質問を取材でよく受ける。景気についての議論は、以前なら生活水準の向上と直結したが、ここ10年ほどでそうではなくなった。

「成長とインフレがすべてを解決する」という考え方から脱却して初めて日本の「失われた10年」は終わる。だから、この質問が出る限り景気はよくならないと思う。

公共投資や減税で景気が好転しても、雇用難や所得減といった問題を解決できなかったのは1990年以降の日本を見れば明らかだ。92年の宮沢内閣以来、「過去最大」と銘打った景気対策は何度か行われた。しかし、今も会社員の給料は下がり続け、若年層は就職難と高い失業率、低年収に苦しんでいる。