「全国一律」より自ら競争して発展を

たとえば旧西ドイツでは戦後、比較的均衡ある国土の発展を果たしたが、これは田中角栄的なバラマキによるものではなく、経済の自然競争によってもたらされた側面が強い。ヒトラーによるナチスドイツの反省から中央集権にならないよう連邦制を敷き、州の権限を国家並みに強化、加えて豊かな州と貧しい州では3%を超えて補助してはいけないというルールをつくった。

それが20年ぐらいのスパンで見ると、意外にもバイエルン州など貧しい州ほど豊かになっている。なぜか? 貧しい州は土地が安いし、優秀な人材が余っていて賃金も安いということで企業が次々に進出してくる。アダム・スミスの言う「神の見えざる手」が働いたのだ。

健全な自由競争は格差を調整する、ということを日本人が信じていないところに究極の問題がある。

権限を委譲して地方自治を実現すれば、幕の内弁当のような全国一律の発展ということはありえなくなる。

産業を奨励し、雇用をつくり出すのは道州の責任であり、食い詰めないように自分たちで創意工夫する。失敗しても国としては面倒を見ない。ただし人間としての尊厳を失わないよう、憲法に定められた最低限の生活に関しては、国が全国一律に生活保護で保障する。この最低限のセーフティーネット以外は国として手を出さないようにするのだ。

これに近いことを民主党は言っている。基礎年金と生活保護を一致させるとか、アメリカと同じように歳入庁をつくって税金と年金の徴収を一元化して、厚生年金など年金の2階部分は民間でやってくれという考え方は基本的に正しいと思う。