ただの妄想が実現に向けて急加速する

私が初めて椎名氏の本に触れたのは、中学2年生のときだった。そして大学に入ってから本格的に読み込むようになり、大ファンになった。

社会人として広告会社で働くことになったころ、無名のフリーライターになったころの自分からすれば、椎名氏から仕事のオファーが来るなんて「妄想」ないしは「どっきり」でしかない。この段階では「夢」にすら思えないくらい、遥か上にいる憧れの存在だった。

そうして日々ネットニュースの編集業務や記事の執筆に明け暮れているうち、気が付けば自分も本を出したりインタビューを受けたりする側になっていた。すると途端に「椎名氏から仕事のオファーをいただく」は「目標」として輝きを放ち始める。「夢」を一気に飛び越え、実現可能な「目標」になったのだ。その加速度はすさまじく早かった。あとはいつその日が訪れるか、である。そして、2015年に機会が到来した。

その後、椎名氏からは自身が責任編集を務める雑誌への寄稿依頼もいただいた。また、2019年~2020年5月にかけて、前出の嶋浩一郎氏が自身の経営する「本屋B&B」にて私のセミリタイヤカウントダウンイベントをシリーズ開催してくれたのだが、その第5回(2020年2月)に椎名氏はゲスト出演してくれた。壇上で2時間以上、嶋氏も交えて3人でじっくりと話をし、その後は打ち上げもご一緒した。これはまさに「目標」が完全に叶った瞬間だった。

「目標」を達成するための3ステップ

夢は罪作りである。夢を抱き、それが叶った状況を妄想するのは、確かに心地よいだろう。しかし、夢は多くの場合、実現しないまま終わる。

私の場合、「夢を持つことはひとかどの人物のみに与えられた特権である」という控え目な考えを持ち、現実的な目標を掲げて、目の前の仕事に粛々と取り組むことを続けた。その結果、日々の積み重ねがあるレベルにまで到達したところで、一気にその目標を達成する……ということを繰り返してきた。

夢というものは、非現実的なものである。だから、なかなか叶うものではない。よって、以下の3ステップが大事なのではないだろうか。

【1】とにかく、行き当たりばったりでいろいろやってみる
【2】そこで成果を淡々と挙げていく
【3】成果を積み重ねていく過程で実現可能な「目標」を設定し、達成に向けて合理的に動いていく

これこそが「夢」に足元をすくわれることなく、「とんでもなく幸せなこと」を達成する着実なやり方である。

絶望したくなかったら夢を持つな――逆説的だが、これが夢を叶える最良の方法なのだ。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・世間には「夢は必ず叶う」「あなたは特別な存在だ」といったヌルい言説が溢れている。しかし現実においては、大半の人が夢を叶えられず、凡人として生きていかなければならない。
・夢を見るから生きるのがつらくなる。夢なんて持つな。そのかわりに、日々の積み重ねの先にある、達成可能な「目標」を常に意識すべし。
・「行き当たりばったり」で生きても構わない。そうして自分の目の前に現れた課題に粛々と取り組み、成果を挙げていこう。そうすれば、あるとき唐突に「とんでもなく幸せなこと」が舞い込んでくるかもしれない。
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