商売の本質とはなにか。経営コンサルタントのえらいてんちょう氏は「すべての商売はカレーを売るか、シャンパンを売るかの2つに分けられる。計画、お金、経験なしではじめられる“しょぼい起業”では、カレーから始めるといい」という――。

※本稿は、えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく 持続発展編』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

シャンパン
写真=iStock.com/DNY59
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街なかでリアル店舗を開く多大なるメリット

しょぼい起業にはさまざまなバリエーションがありますが、共通しているのは「街なかでリアルな店舗を開く」という点です。

ネット通販やアフィリエイト、あるいは腕1本で稼ぐフリーランスなど、リアルな店を構えずにできる事業はたくさんあります。

そうした中で、しょぼい起業が実店舗にこだわるのは「どうせどこかに住むのだから、そこで商売もすれば手っ取り早い」という「生活の資本化」のコンセプトから出発したためです。

でも、実店舗のメリットはそれだけではありません。とりあえずしんどい環境から逃げてはじめた「短距離走」から卒業し、より長い目で豊かな生活を築いていく「長距離走」に入っても、実店舗はやっぱり強いのです。

例えば、あなたがフリマアプリで古着か何かを売りはじめたとしましょう。誰かの目に留まったと思いきや「お値下げ可能でしょうか?」とメッセージが来て価格交渉がスタート。

予算を尋ねたり100円単位でギリギリの提案をしたり、何度もメッセージを交わした末、けっきょく買われないまま連絡が途絶えるのが普通です。徒労ですね。お互い顔が見えませんから、まあやりたい放題です。

「人情に甘えられるだけ甘え、むき出しの競争を避ける」

実店舗ならどうでしょうか。「店をはじめるんだ」と知らせれば、家族や親しい友人が来てお祝いをくれたり、いくつか買って帰ってくれたりするかもしれません。

えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく 持続発展編』(イースト・プレス)
えらいてんちょう『しょぼい起業で生きていく 持続発展編』(イースト・プレス)

初見の客でも、面と向かって値下げしろと言う人は少数派です(ゼロではありませんが)。ご近所に顔を覚えてもらい、「店主」として地元の信頼を集めれば、おのずと新たな商売のネタも転がり込んできます。

目の前にいる人に、あまり無理は言えない。見慣れた店がなくなると寂しいから、たまに行って応援する。それが人情です。

要は「人情に甘えられるだけ甘え、むき出しの競争を避けることであいまいにやっていける」のが、実店舗を営むしょぼい起業の強みだということです。

古くさいやり方と侮ってはいけません。自然な心情に働きかけて人を動かすテクニックは「ナッジ」と呼ばれ、行動経済学の最先端分野になっています。

あなたも実店舗を構えて、科学的にも検証された「古きよき義理人情」を味方にしましょう。