近代オリンピックは、フランスのクーベルタン男爵の努力で始まった。アマチュア精神を柱に据えた清新なイメージを確立したことは、世界中のスポーツ関係者たちの努力のたまものだ。
しかし今日、オリンピックをめぐって動くカネは巨大化し過ぎた。何にいくらの資金が流れているのか、分からない。だから、「東京大会中止」というより、各国において自由でカネのかからない代替案を公募してはどうか。
例えば、出場予定だった選手が参加する、面白い「東京大会記念」イベントを各国でやってもらい、SNSを通じて世界中で視聴できるようにし、「いいね!」の数を競う。広告収入は、新型コロナワクチン購入のために途上国に寄付する──。
日本がこうしたイベントの開催でイニシアチブを取り、自己資金でSNS上に統合プラットフォームを作ったりすれば、選手たちの気持ちも、IOCや菅政権の命運も、そして日本のイメージも救われるのでなかろうか。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら