「地域に根ざす診療所が、より多くの役割を担う」と朝日社説

この連載では全国紙の社説を読み比べているが、前述した京大病院のコロナ患者の生体肺移植を直接取り上げた社説はなかった。ただ、どの社説も病床の逼迫ひっぱくを回避し、医療態勢を強化することを呼びかけている。肺移植を受けなければならないほど重篤化する前に適切な治療を施せる態勢を整えておくことが大切だ。

5月11日付の朝日新聞の社説は「施設での感染 診療所の役割をさらに」との見出しを付けてこう書き出す。

「根本にあるのは、入院すべき患者が入院できないほどの病床の逼迫である。地域を支える診療所をはじめ、医療機関と自治体、国が協力して検査・診療態勢を強化し、病床を少しでも増やす具体策を急ぐべきだ」

感染力が強いといわれるN501Y変異ウイルスが感染の主流を占めてきた。感染者が増えれば、重症患者も増える。だからこそ、病床の確保が求められるのだ。

日本医師会の会長はこっそり「政治資金パーティー」に参加

朝日社説は「期待したいのは、規模は小さくても地域に根ざす診療所が、より多くの役割を担うことだ」と指摘し、「往診を含めて積極的に患者に向き合うのはもちろん、医療が手薄な施設への支援など業務は少なくない。入院待ちが多い地域では、自治体からの連絡で医師が遠隔診療にあたったり、患者の自宅に赴いたりする仕組みが見られる。医師会と自治体が協力し、連携を広げてほしい」と訴える。

日本医師会が都道府県の医師会に対し、自治体に進んで協力するよう強く呼びかけるべきだ。まん延防止等重点措置のさなかの4月20日、日本医師会の会長が後援会長を務める自民党参院議員の政治資金パーティーに医師会幹部ら100人とともに参加していたと週刊文春が報じている。これは医師会の存在意義が問われる愚行である。猛省し、コロナ対策に全力を尽くすべきだ。

後半で朝日社説は「病床の積み増しは病院が中心になる」と指摘したうえで、「設備を改修しコロナ感染者を受け入れるほか、それが難しい場合は、ある程度回復し他人を感染させる恐れがなくなった人向けの病床を提供することも逼迫緩和につながる」と書き、「そうした努力を財政面などで支えるのは国や自治体の役割だ」と主張する。

国と自治体の援助資金の原資は、私たちの血税である。財源には限界もある。国と自治体は資金を有効に使わなければならない。