コンビニに並ぶさまざまなチョコレート菓子。菓子メーカー各社が新製品を競うなかで、数少ないロングセラー商品のひとつに明治「ガルボ」がある。発売開始は1996年。なぜガルボは25年間、売れ続けているのか。明治でマーケティングを手がける東奈央さんと商品開発を担当する宮崎翔太さんに聞いた――。

漬物からヒントを得た「含浸製法」

左「ガルボチョコポケットパック」、右「ガルボチョコパウチ」
画像提供=明治
左「ガルボチョコポケットパック」、右「ガルボチョコパウチ」

明治の「ガルボ」はビスケットにチョコレートを染み込ませた独特の食感が特徴のチョコレート。オフィスで働く女性を主なターゲットとして展開してきた。

ガルボ誕生の背景について、明治マーケティング本部カカオマーケティング部の東奈央さんはこう話す。

「『たけのこの里』や『きのこの山』といった商品に代表されるように、1990年代のチョコレート菓子はチョコレートとクッキーが分かれているのが一般的でした。それに対して、菓子開発を行う研究所の当時の社員が『チョコレートと焼き菓子が一体化した新しいお菓子を作りたい』と考えたのです」

ビスケットにチョコレートを染み込ませるアイデアは「漬物」から得たとカカオ開発部の宮崎翔太さんは説明する。

「漬物などで用いられる圧力操作で液体を染み込ませる製法をヒントにして、液状のチョコレートに圧力をかけ、ビスケットに浸すことを考えました。そして、ビスケットにチョコレートを染み込ませる含浸がんしん製法を編み出すことに成功し、1996年9月にガルボを発売するに至ったのです」

発売当初は「会社の休憩時間」に食べられていた

1996年の発売後は、ガルボの認知度向上を図るために女優・広末涼子を起用したテレビCMを大々的に放映した。

その時に、ガルボの支持層となったのが、コンビニを利用する女性たちだった。

「発売当時、コンビニはトレンドの商品がいち早く並ぶ『情報発信基地』として知られていました。そんな中でガルボが陳列棚に並ぶと、『新食感ミステリー』というパッケージコピーや手軽に買える大きさなどが相まって、出勤時にコンビニを利用する女性を中心に支持されたんです。当時は、会社での休憩時間に『お茶と一緒にガルボを食べる』という食べ方をされていました」(東さん)

1996年発売当時のガルボ
画像提供=明治
1996年発売当時のガルボ