「手につかない」ガルボは、ワークスタイルの変化で生まれた
2000年代に入ると、インターネットの普及に伴い、パソコンでのデスクワークが主流になっていった。このようなワークスタイルの変化に合わせて2005年に発売したのが、「ガルボ ミニ」(※記事冒頭の画像参照)だ。
サイズを従来の「ガルボ」の半分程度にするだけでなく、チョコレートを手につきにくくするコーティング加工を施し、デスクワークの際に食べやすいように工夫を凝らしたのだ。
「2000年代になると、お茶の時間を設けて仕事の手を休めるのではなく、デスクワークをしながら自分の好きなときに休憩を挟み、お菓子を食べるスタイルに変わりました。そこで、デスクワーク時に食べやすく、かつ手を汚しにくい商品を出そうと考えたんです。今ではガルボの特徴として『手につかないこと』が挙げられますが、1996年の開発当初は、そのような機能的価値を入れる予定はありませんでした。デスクワークの合間に、どんな商品なら食べてもらいやすいかを考えた結果として、『コーティング加工を施して、手にチョコをつきにくくする』というアイデアにたどり着いたのです」(東さん)
シリーズ商品を続々発売したものの、多くは終売に
「ガルボ ミニ」の発売を皮切りに、ラインアップはさらに拡大されていった。
ガルボならではの含浸製法から生まれる独特の味や食感を生かして、より多様な食ニーズに応えるために、コンセプトを変えたガルボシリーズを展開していったのだ。
2008年に「ガルボチップス」、2010年に「ガルボボール」、2011年に「ガルボキューブ」、2012年に「ガルボツイスト」、2014年に「ガルボプレミアム」と「か~るいガルボ」を次々発売した。
「ただ、2015年時点で残ったのは『ガルボ ミニ』と『ガルボプレミアム』だけだったんです。軽い食感の、チョコスナック系のアイテムはすべて終売していました。それを踏まえて、『ブランドとして、これからどうあるべきか』を次第に考えるようになりました」(東さん)
ターニングポイントとなったのは2016年。明治の創業から100周年という節目の年だ。
ガルボもブランド20周年を迎えるにあたり、新たにブランド価値の再構築をするべくプロジェクトチームを発足した。
「会社全体として、ブランドごとの商品価値やアイデンティティーを見直すタイミングでした。そんな状況下で、ガルボも『この先どのようなブランドにしていくか』を決めるべく、チョコレートの市場環境の変化や、強豪他社の商品がある中でのポジショニングなどを社内で議論したんです」(東さん)