自宅近くの3台のカーシェアが姿を消した

先日、自宅近くを歩いていてある異変に気がついた。自宅から2分ほど歩いたところに15台ほどとめられるコインパーキングがあるのだが、そこに置いてあったカーシェア用の車3台が姿を消したのだ。一体どうしたのだろうか。

自宅は湘南エリアの駅から徒歩10分ほど、戸建て住宅とマンション・アパートが混在した場所にある。ほとんどの戸建て住宅とマンションには駐車スペースがあり、車を保有している世帯が多いエリアである。

そのためか、カーシェア用の車は週末にはそれなりに稼働していたが、平日は駐車スペースにとどまっていることが多かった。平日は電車通勤で、車を所有していないマンションやアパートの住人が休みの日に利用する、というパターンが多かったのではないかと思われる。

カーシェアといえば、自動車産業の大変革を示すキーワードであるCASEの「S」であり(「C」はコネクテッド、「A」は自動運転、「S」はシェアリング、「E」は電動化)、今後自動車の利用形態の主流になるといわれているものである。

私はCASEのすべてに疑問を感じており、そのことは昨年の記事「2030年代に入っても『EVが主流になることはない』これだけの理由」にも記した。今回はあらためて「S=シェアリング」について考えてみたい。

新しい車のキーを渡す営業担当者
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最大手タイムズカーの保有台数はマイナスに転じた

日本におけるカーシェア事業のトップを走るのはタイムズカーである。なんと日本のカーシェア主要6社のうち、4分の3以上を占める。そこでタイムズカーの保有台数を調べたところ、2021年3月現在で2万6534台であった。

1年前の2020年3月の数字を見ると2万7836台で、なんと1302台も減少しているのである。ステーション数も1万3277箇所から1万3061箇所と1年間で216箇所も減っている。業界全体(主要6社)で見ても、保有台数は3万6188から3万4887台と1301台減っており、その大部分はタイムズカーであるとしても他社も全く伸びていないことがわかる。

カーシェアが話題になり始めた2010年代前半は30%を越える伸び率だったが、近年伸びが鈍化し、今年になってマイナスに転じたという状況である。コロナ禍の影響で利用が減ったのが原因なのだろうか。