大勢の女性が被害に遭っている可能性がある
健全な民主主義を維持するためには強力なジャーナリズムが欠かせない。権力をチェックして弱者を守る報道機関が機能不全に陥っていると、民主主義の土台が揺らぐ。中国やロシアの現状を見れば一目瞭然だ。
残念ながら日本のジャーナリズムの現状はお寒い限りだ。モデルでタレントのマリエによる「枕営業」告発がネット上で激震を起こしているというのに、大手新聞・テレビ局は完全にスルーしているのだ。
なぜなのだろうか? 「古い話で裏も取れていないから報じる価値なし」「一芸能人の暴露話に付き合っていられない」などと思っているのだろうか?
だとしたら大間違いだ。マリエの告発は公益性が高く、報道機関が最優先で取り組まなければならないテーマだ。芸能界全体にセクハラが蔓延し、大勢の女性が被害に遭っている可能性があるのだから。
競争力の源泉である「裏取り」をしない報道機関
マリエの告発は実名入りで衝撃的だ。15年前の18歳当時、当時テレビ界で売れっ子だった島田紳助から肉体関係を迫られ、現場に居合わせた出川哲朗やお笑いコンビ「やるせなす」からも煽られた。その後、紳助司会の番組を降板させられたという。
紳助はすでに芸能界を引退している。一方、出川と「やるせなす」の事務所は告発内容を否定している。
確かに現状ではマリエの証言以外に証拠がなく、どこまで本当なのか分からない。だからといって大手メディアがスルーする理由にはならない。自ら裏取りすればいいのだ。報道機関にとって裏取りは競争力の源泉なのだから、当たり前のことである。被害者側に証拠集めを丸投げしているのであれば、報道機関として失格だ。