感染症に対しても「正当に怖がる」ことが求められる
ただし、ずっと外出を避けるわけにはいかない。長期的にはどうすべきか。ワクチンの接種を継続し、感染をコントロールしながら新型コロナと共存していくことを考えるべきである。決して新型コロナと戦おうなどと考えてはならない。
明治から昭和初期にかけて活躍した物理学者の寺田寅彦は、「小爆発2件」という浅間山の噴火についての随筆で、こう書いている。
「ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」
感染症に対しても「正当に怖がる」ことが求められる。正しい知識に基づいて新型コロナをコントロールしながら共存していくことが必要なのである。
産経社説は「政府は戦いの前面に立て」と主張する
4月17日付の産経新聞の社説(主張)は「危機に際しての施策の要諦は『着手は果断に、撤退は慎重に』であるはずだ。政府や自治体の新型コロナウイルス対策はこれに逆行しているように映る。その結果が、現在の『第4波』だ」と書き出し、こう訴える。
「反省を生かしてなんとかこれ以上の感染蔓延を押さえ込んでほしい」
書き出しから強く皮肉ったものである。政権擁護のスタンスを好む保守の産経社説にしては、「要諦」という小難しい言葉を持ち出し、「逆行」と言い切るところなどかなり手厳しい。
傍から見ると、産機社説は危機感を煽っていないか。
産経社説はさらに皮肉る。
「政府が『蔓延防止等重点措置』の適用対象に、埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県を追加した。期間は20日から5月11日までとした。これまでは金曜の決定、翌週月曜からの実施だったが、20日の火曜となったのはなぜか」
「各県議会への説明を要するというなら、地方政治の怠慢である。ウイルスは政治日程など考慮しない。待ってもくれない」
見出しも「蔓延防止4県追加 政府は戦いの前面に立て」である。
たぶん産経社説が指摘するように政府は政治日程を考慮したのだろう。それにしても産経社説の見出しにある「戦い」はまずい。繰り返すが、新型コロナと戦うのではなく、コントロールしながら共存することが重要のである。産経社説は感染症対策について誤解している。