段ボール900箱、最大9万冊の古本が全国から届く

運営はセンターの職員とボランティアが行う。おもな仕事は、古本の受け取りと分類だ。

「全国から段ボール900箱ほどの古本が届きます。後で礼状を送るために、伝票を保管して、開梱して、仕分けて、陳列する。センターに直接持ち込まれる本も合わせると、多い年で9万冊ぐらいになりますね」

期間中、ボランティアの延べ人数は500人を超える。古本の運搬は重労働だが、読書好きの人が多く、本の内容や陳列の仕方で話が盛り上がることもしょっちゅうだ。単行本、文庫本、新書に分けられた古本は、別の段ボールに整理し直され、センターの廊下に山積みになっていく。

取材中も近隣住民から古本が持ち込まれた
撮影=水野さちえ
取材中も近隣住民から古本が持ち込まれた

「一度に全てを並べるのはスペースの都合上無理なので、時々古本の総入れ替えをします。推理小説や時代小説なんかは、『松本清張』や『池波正太郎』など作家ごとに分類するとよく売れますね。期間中、何度も足を運んでくれる人もいます」

大学の教授が「六甲古本市行き」という箱を設置して本を集める

同じ作家でも出版社や、単行本と文庫本による違いが楽しめたり、思いがけず数十年前の初版本に出会えたりする。その上、入れ替えもあるのでリピーターも飽きないのだ。客にとっては毎回、古本市ならではの「見つける楽しみ」があり、陳列を工夫した古本が目の前で売れると、ボランティアのスタッフにとっても励みになる。

「本当にいろいろな古本が送られてきます。全国紙の新聞記者が、勤務地の本を集めて送ってくれたり、大学の先生が、研究室に『六甲古本市行き』という箱を常設して本を集めてくれたり。いつでもどこでも、古本市のことを気に留めていてくれるのがうれしいですね」

やはり、ある程度の量があると古本はよく売れる。終了後、同様の古本市を行う非営利団体や、地域の児童施設などに、寄せられた古本をさらに寄贈することも多いそうだ。