新規客獲得のためのアナログ作戦が効き目満点
リピーターを惹きつける一方で、新規顧客の開拓も必要だ。宣伝はどうやっているのだろうか。
「新聞の折り込みチラシで、認知度がぐっと上がりました。古本市のお知らせだけでなく、裏面ではセンターの活動紹介もしています。そもそも紙の新聞と古本との相性はいいし、届けたい人に情報が届いていると実感します」
2021年は6万枚のチラシを、神戸・朝日・毎日・読売・産経の各紙に折り込んだ。
その他に手ごたえを感じたのは「のぼり」と「ポスター」だ。のぼりは最寄りの阪急六甲駅近くとセンター周辺に数本立てるだけ。ポスターに至ってはたった1枚、センターからほど近い神戸大学の通学・通勤ルートに取り付けた。卒業生でもある飛田さんが「あそこなら歩く人全員の目に留まる」と熟知している場所である。そこから導かれた学生や教職員たちが、面白いようにセンターにやってきた。
長く続けるためには「自分たちが楽しむ」ことが大事
開始当初は、奨学金を13年続けるのが目標だった「六甲奨学基金」は、古本市のヒットによって25年続いてきた。その古本市は、今年で24回目を迎える。ここまで成功した最大の要因は何だろうか。
「だんだんと自己増殖していったからでしょうね。活動の趣旨に賛同して、古本を提供してくれる人たちも気持ちがいいし、ボランティアも楽しいし、お客さんも楽しみにしてくれている。楽しく、よいことをするというサイクルがうまく回転している」
「誰かのために」という使命感や善意だけではここまで続かなかったかもしれない。何より「自分たちが楽しみながらやる」ことに継続のヒントがあるのではないかと、どこか飄々としている飛田さんからは感じられた。今年の春も、もうすぐそこだ。
参考資料
六甲奨学基金
留学生の内訳、(独)日本学生支援機構の調査より
「日本留学奨学金パンフレット2020-2021」