地方は疲弊するどころか力が溜まっている

【原田】大﨑さんの話を聞いていると、地方の人間関係と通じるところがあるような気がしてきました。地方は疲弊している、ってよく言われるんですけれど、ぼくは逆に力が溜まっている、底力があるような気がしているんです。問題はそれをどう使うか、なんです。東京って、刺激的なエンターテインメントがあって楽しい。ただ今回、新型コロナウイルスで、改めて感じたのは、住む、暮らすという意味では、こっちの方がすごく楽。新型コロナウイルスで、疲弊しているのはむしろ大都市ではないかと思うようになりました。

撮影=中村治

【大﨑】確かにそうかもしれません。底力をどう使うかというのも同感です。地方創生っていいますけれど、頑張り方が大切だと思うんです。一つの村や一つの町、一つの県が頑張っても、それは(他の地方との)パイの取り合いにしかならない。うちの祭り、例年の1.5倍になって売上げもあがったというれど、近隣県の売上げを奪っただけかもしれない。もちろん新型コロナウイルスが落ち着く、という前提がありきですけれど、海外の人、特に中国やアジアの方々に来てもらうというのが大事。異文化交流して“関係人口”を増やすべきではないかと思うんです。

鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 6杯目』
鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 6杯目』

【原田】関係人口とは“定住人口”でも観光に来た“交流人口”でもなく、地域の人々と関わりを持つ人たちという意味ですね。

【大﨑】フランス、あるいは中国の家族が米子に2泊3日で来て、おじいちゃん、おばあちゃんの農家に泊めてもらって、稲の収穫を手伝ってもらう。おばあちゃんが普段作っているご飯を一緒に食べて、お布団で寝る。観光名所を巡るのもいいんでしょうけれど、体験型で地元の人と知り合う方が面白い。そこで出会った人が優しければ、その土地が好きになる。その土地の中心には、この素晴らしい病院がある。人と人がつながる社会の中心に病院があるというのは理想的ですよね。

【原田】そこまで言っていただき光栄です。今後とも、とりだい病院を宜しくお願いします!

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