なぜ、山陰地方の人は自己主張をはっきりしない傾向にあるのか

分からないことだらけの脳と心の関係の中で、はっきりしているのは「ものの見方」と「経験」が重要な役割を果たしているということだ。

鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 6杯目』
鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 6杯目』

「焦点を当てているところはよく見えたり認識したりできますが、そうでないところはうまく認識できない。カメラで撮るように均質均等に周りを認識するのとは違います。自分の認識に自分でフィルターをかけている。どこに注意を向けるかはその場では自分では意識していないかもしれませんが、過去の経験の影響を受けているということは多分にあります。その意味では育ってきた来歴も影響してきます」(兼子教授)。

気候や風土によって育まれる気質が、心の病気に影響する。冬場に日照時間が短くなる地域だと、季節性うつにかかる人が一定の割合でいる。

「山陰地方の患者さんを見ていて思うことですが、攻撃的になる人は少ないです。どちらかというと解離性障害になる人が多い傾向だと思います。解離性障害とは、感情と意識を切り離して辛さをやり過ごすというものです。若い世代や高校生などに多い印象です。あまり自己主張をはっきりする県民性ではないのかなと思います」

やさしく控えめな性格が山陰人らしさと言われることがある。脳と心の立場から見ても理由があったというわけだ。

考えてみれば、自分の心ほど分からないものはない。だが、脳が心の基盤となると知ると、脳に興味を持つことをきっかけに、合理的に自分の心に向き合ういとぐちを手にすることができそうだ。

脳も心もまだ全容解明に対しどれくらい近づけているのかさえ分からないほどの研究途上にあるという。

「まだまだ分からない。だから面白い」

三人の教授が口を揃えた。

脳神経疾患や心の病には、診療科の分野が重なる部分あるいは複数の診療科で診るべき疾患も多くある。鳥取大学医学部附属病院の「脳とこころの医療センター」では、4つの診療科が隣あって診療し、互いに連携を図ることでより的確な医療を提供する。
撮影=中村治
脳神経疾患や心の病には、診療科の分野が重なる部分あるいは複数の診療科で診るべき疾患も多くある。鳥取大学医学部附属病院の「脳とこころの医療センター」では、4つの診療科が隣あって診療し、互いに連携を図ることでより的確な医療を提供する。
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