1月16日、17日に行われた「大学入学共通テスト」の英語の出題文で、科学的には誤った記述が複数みつかった。科学ジャーナリストの松永和紀氏は「甘味料を危険視する典型的なニセ科学を前提としている。科学リテラシーのある受験生ほど迷うはずだ」と指摘する。大学入試センターの見解とは——。
大学入学共通テストの英語科目リーディングで、科学リテラシーに欠ける甘味料批判が出題された
大学入学共通テストの英語科目リーディングで、科学リテラシーに欠ける甘味料批判が出題された

甘味料批判を繰り広げた“教科書の一節”

1月16日、17日に行われた「大学入学共通テスト」の英語の出題文が、食品業界でたいへんなブーイングを浴びています。甘味料に関して、バイアスに満ちた“危ないから気をつけろ”論が出題された、というのです。

「栄養に関する教科書の一節」として出題されたのですが、日本はもとより世界各国の政府機関等の見解、実行されている規制をまったく無視したものです。英語として正しければ、内容が非科学的、扇情的、実態と異なるものであってもよいのでしょうか? 科学リテラシーの観点から解説します。

食品業界から異議が出ているのは、英語リーディング問6のB。あなたは健康クラスで栄養学を学んでいて、「教科書の一節」を読み、さまざまな甘味料について学ぶ、という設定。100点満点中の12点がこの出題に充てられています。

教科書の一節

砂糖の摂りすぎが肥満や健康問題につながり得るとして多くの人が、低カロリー甘味料を選んでいる、と説明。人工的なものと自然のものがあることなどに言及した後、甘味料を選ぶときには健康問題を熟考するのが重要だという話題が提起されます。