「曖昧な政府要請」が危機感を失わせている
大企業でもデスクワークの多い業種やIT系の職種では、テレワークが定着している。総合商社ではせいぜい週に1日しか出社しないという若手社員も増えた。だが、多くの企業の管理職が、対面での会議にこだわる姿勢は依然として強いという。金融機関の幹部も「オンライン会議では本音が見えない」とぼやく。
伝統的な日本企業に必須の「技」とも言える「空気を読む」ことや「上司の顔色を伺う」ことはオンラインでは難しい、というのだ。ひとつの仕事をチームでこなすスタイルも難しい。逆にジョブディスクリプションを明確にするには、責任と権限を明確にしなければならないが、そうなると日本型「中間管理職」の存在理由がなくなってしまう。
そんな精神的な抵抗感があるところに、政府要請が曖昧なため、テレワークに移行しなければという危機感が失われているように見える。
一方で、中途半端な「行動自粛」のままで、感染拡大が終息するとは思えない。感染者数が減らなければ、緊急事態宣言の解除もできず、飲食店の経営はどんどん追い詰められることになるだろう。4月5月並みに経済活動を止めれば、感染拡大を抑え込めることはすでに証明されている。短期集中で新型コロナを撲滅することが、最大の経済対策になるし、短期ならば事業者も何とか耐えようと思えるはずだ。