日本最大規模のVCを持つという強み

【北尾】幸いなことに、我々はSBIインベストメントという日本で最大規模のベンチャーキャピタルを持っています。ベンチャーキャピタルというのは、もう本当に生まれたばかりの会社にお金を入れ、それを育てて株式公開させることが使命ですから、そういう企業育成に慣れています。ですから今はグループの生態系の中に、そういうファクションを担う会社があることが我々の強みなのです。

【田中】そうですよね。第4のメガバンク構想の中核は、今まで築き上げられてきた企業生態系エコシステムを活かして、それをメンバーの地銀に活用してもらうというところでしょうね。

【北尾】この間ある頭取さんとお話しをしたら、「北尾さんの所には色々お世話になってきたけれど、グループの色々な会社さんのお世話にもなっているということが今回よく認識できました」と言われたのですね。それぐらい我々のグループは広く様々なサービスが提供できると思うのです。そういうものを全部導入したら、それだけでも収益力はかなり変わってくるはずです。

「ヒト・モノ・カネ」をいかに地方へ持っていくか

【田中】「金融を核に金融を超える」というビジョンを掲げられていたタイミングがあったと思いますが、金融を超えるというのも、今こそ「天の時」が訪れているのでしょうか。

【北尾】そうですね。地方創生は簡単に言えば、ヒト、モノ、カネをどうやって地方に持っていくかということですね、持って行き方には様々な形がありますが、その過程の中で、金融を核に金融を超えるというのが具現化されていくと思います。

【田中】そうですね。今、ヒト、モノ、カネを地方にというお話がありましたが、私自身、国家の競争戦略の研究もさせていただいていて、スイスの研究をした時、スイスがご存知のように軒並みいろいろな競争力ランキングで上位に来ているのは、一言で言うとすごく優秀な人材やグローバル企業の本社がスイスに移ってきているからだと。

どうして優秀な人材と企業がスイスに移っているかというと、ビジネス環境と生活環境と教育環境が三位一体で揃っているから、みんな家族を連れて移るわけです。そういう意味で日本の地方というのは、おそらく生活環境は優れていますが、今まではビジネス環境が整っていませんし、ましてや教育環境も整っていない。でも今こそデジタルトランスフォーメーションで三つともうまく、三位一体でできるようなタイミングが到来していると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。