地方創生のロールモデルはスイスとドイツ
【北尾】一極集中は、例えばこのコロナの問題でも難しいとなっているわけです。それまで一極集中の問題は、例えば交通渋滞とか、そういうことでしたが、コロナ禍でこんなにウイルスは広まりやすいのかということになり、ポストコロナでは分散型社会を具現化していく必要がある。分散型社会ということはイコール地方創生ということです。
今スイスのお話がありましたが、スイスもそういうところが優れていると思いますし、もう一つ優れた所はドイツだと思います。
【田中】先日の決算発表でも、ドイツをだいぶ取り上げられていましたね。
【北尾】ドイツでは産業クラスターをどんどん作っていて、ベルリンに行けばベルリンの、フランクフルトに行けばフランクフルトの、デュッセルドルフに行けばデュッセルドルフの、それぞれの地域に別々の産業が育っている。それぞれ大規模な飛行場もありますしね。ドイツ人は戦後、実に計画的に土地づくりを、随分先まで考えてやってきた。日本人は、残念ながらそういう発想がなかったということですね。
【田中】そういう意味では、北尾社長が今お作りになられている地銀の連合というのは、それぞれの地域で産業クラスターを作っていくというのが天命でもあるのでしょうね。
外国人が「東京より大阪」を選ぶワケ
【北尾】そうでしょうね。もちろん政府のスマートシティの計画も関連法案が国会を通過したわけですから、色んな地方でスマートシティを作っていけばいい。中国で言えば戦略特区ですね。それでそこには、どうやってヒト、モノ、カネを集めるか、当然ながら税の優遇など、様々なことをやらないといけない。
例えば今、次世代の国際金融都市構想があります。私は大阪・神戸がいいと言っているのですけどね。先日、外国人と色々話していて、「あなたは東京と大阪とどっちがいいと思う?」と聞いたら、大阪がいいと言うんです。「なんで?」と聞いたら京都や奈良に近いからと。日本のトラディショナルな文化に触れる機会は、外国人にとっては非常に大事なわけですね。ですから、週末にそういうところにぱっと行ける立地がいいのではないかと思うわけです。
それから食べ物も、私自身が関西人だから思う部分があるのかもしれないですが、どちらかと言うと大阪は食い倒れ、京都はもともと京野菜から何から全部揃って、長い間のキャピタル(首都)だった強さがあるわけで、料理も美味しいと思います。あと必要なのは教育だとか病院とか、そういう類です。全部、英語が通用するようにしていかないといけないということですね。
神戸なんていうのは昔から外国人が早くから移住して、山の高台に洋館を作って今でも観光名所になっています。あるいはモロゾフというチョコレート屋さんも、ロシアから来たわけですよね。長い間日本に定住していた外国人もたくさんいたのです。異国情緒豊かな港町ですし、ああいう雰囲気も住居としていいのではと思うのですけどね。