医療情報には統計化する世界が必要だ

【北尾】しかし、テレビで入ってくる情報というのは、今日の新規感染者のニュースばかり。ほとんど役に立ちません。こんなに増えているとある意味で不安を煽るだけですね。

だから、医療情報というのは、もっと分析的に、疫学的に統計化していくような、そういう世界が必要です。そういう意味では、この今の状況下で、そこにいろんなITのテクノロジーを加味して、新しい事業体を作っていく。そういう事業ポートフォリオの拡大を今、しつつあります。

【田中】なるほどですね。そういう意味では「道、天、地、将、法」の「地の利」という点はもともと「金融を核に金融を超える」ということを仰っていて。それからメディカルなどの分野までもずっとされていましたが。むしろ「天の時」というと、今こそデジタルを通じていろんな事業ポートフォリオが繋がってくる、よりその時流を感じていらっしゃるタイミングなのでしょうね。

【北尾】そうだと思いますね。

インターネット時代こそ「信」と「仁」が大切

【北尾】もう一つ大事なことは、このインターネットの世界というのは、言うまでもなく、対面で人と人が会い、目を合わせて、話をするという世界ではないです。

多くの人は、インターネット上の情報に一種の信頼感をおいて、「このお弁当は美味しそうだ」と注文するわけですよね。このインターネットの世界で、インターネット以前の世界に比べて大事な要素というのは、人を欺かないこと。要するに信ですね。これが非常に大切。

もう一つは、例えば、人を欺かないだけではなく、人に対する思いやり、仁という思想ですね。仁というのは、にんべんに二と書きます。人が2人と。人が2人いると、全く言葉は通じなくても、なんとなく見ていて、相手と意思疎通を図ろうとする。まあそれは普通の人間の姿ですね。そうすると、今度は身振り手振りになってくる。そうすると次にじょという働きが起こる。如ですね。我が心の如く、相手のことを考えるというようなことになる。それはイコール思いやりということ。仁の思想になるわけですね。

インターネットの世界ほど、相手のことを思いやりながら、お客さんはどういったことに喜ぶのか。いろんな情報を集めながらそういうものを感知して、お客様の満足度を最大限に高めようとしていかないといけない。ですからこの中国古典の仁という思想が、この時代こそ必要だと言えるかもしれません。またセキュリティの面では、いろんな詐欺事件が起こっている。これも、信をいかに大切にしないといけないかということですね。