主婦の女性が、起業を目指して入学

【田中】そういう意味では2008年4月に開講されて、今年は2020年です。私はここで教鞭をとらせていただいて2年目ですけれども。先ほど起業家というお話がありましたが、ちょうど2年目で私は「孫子の兵法×現代経営学」ということで、人間学×時務学みたいなことをさせていただいています。

今年履修してくださった方は30名強いらっしゃり、おそらく6割ぐらいの方がSBIグループの社員の方で、残りは起業家を目指している方ですね。1人非常に感銘を受けた方がいらっしゃいました。女性の方でもともとはある会社にお勤めでしたが、今は主婦をされていて、起業を目指して勉強したいと。それでこの大学を受けたということでした。

そういう意味では、2008年4月に天命を受けて作られた大学院ですが、その通りの方が履修されているのではないかと思います。

【北尾】おかげさまでだいぶそういう人が増えてきましたね。自分で起業して成功している人も結構出始めてきていて、そういうお便りをいただくと、喜んで見ています。

【田中】そうですよね。たまに本屋に行くと、北尾社長の推薦の帯が書かれていたりする本の著者が、卒業生であることが多いですもんね。

【北尾】そうなんですよ。

【田中】そういう方の帯で推薦文を書くというのは、本当に嬉しいですよね。

コロナ禍でDXが加速度的に進んでいる

【田中】今お話させていただいたように、私はSBI大学院大学では、「孫子の兵法×現代経営学」ということで、孫子の兵法に出ている五事を「5ファクター・メソッド」という形で私なりに経営学のフレームワークにアップデートして、使わせていただいています。

ご存知の通り孫子の兵法の五事というのは、「道、天、地、将、法」というものです。次にお伺いをしたいのは、北尾社長の今の大戦略についてです。「道、天、地、将、法」の中に埋め込まれている天と地ですね。

当然、天と地には相当深い意味がありますが、ここでシンプルに天を「天の時」、それから地を「地の利」という風に定義させていただくと。この2020年、あるいは2021年のタイミングというのは北尾社長にとって、あるいはSBIホールディングス全体にとって「天の時」とはまず何を表しているでしょうか?

立教大学ビジネススクールの田中道昭教授

【北尾】まず基本的にコロナ禍というと、あんまり良いイメージがないですが、我々の事業という面で見ると、我々がずっと追求していたインターネットの世界、デジタルトランスフォーメーションに向かって、どんどん加速度的に動いています。その状況は我々のビジネスにはすべてプラスに作用しているのです。