インターネットで、情報が公平になった

【田中】信、仁というところでお伺いしたいのは、49歳の時にインターネット×金融が天命だと感じられたというところで、色々なご著作の中で、インターネットを通じて本当に顧客中心のサービスが提供できるのではないかと考えられたと。

すでに49歳の時に、顧客中心のサービスがこれでこそ提供できると書かれていましたが、今こそさらにカスタマーセントリックのサービスができるという感じでしょうか。

【北尾】そうですね。インターネットがどういうことを可能にしたかといえば、情報の非対称性をなくしていくことです。つまり今まで金融機関側にあったけど、一般の利用者にはなかった情報、企業の側にあったけれど、一般の利用者、あるいは受益者にはなかった情報などが、インターネットによって両方に公平に行き渡るようになる。そういう仕組みを安く、手間ひまかけずに提供することができる。

ですからある意味、完全競争というのはこのインターネットの世界を持って初めて具現化するのではないかと。それまではimperfect competition、不完全競争だと。一方に情報がなく、片方にだけ寄っているのですから。

SBIホールディングス 北尾吉孝代表取締役社長と立教大学ビジネススクールの田中道昭教授

顧客満足度を高めることが重要課題になる

【北尾】両方に情報が行き渡るということはどういうことかというと、結局、お客さまが賢くなるということですね。よりスマートになる。そうすると、大量生産してどんどんコマーシャルを流して押し込み販売的なことはもうできなくなる。いろんなニーズを持ったお客さまがいる、多様化している。それに応えていくことも必要になってくる。

ですからどうやってお客さんのニーズに応えるか、が企業にとっては最大の課題になっていく。言い換えれば、顧客満足度をどうやって高めるか。これが最も大事な課題になるわけですね。

ですから私は事業をスタートする時から、顧客満足度をいかに高めるかがインターネット時代に最も大事なことだと言い続けてきたのです。

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