学び続けていれば怖くない

未知なものや未来は怖いものだ。どうなっていくのか考えると怖いものだ。いろいろなトラブルを乗り越えた経験を重ねていない若い頃は、ほんとうに怖いものばかりだ。特に、今の私たちが生きている時代の未来には、人類史を大きく変えるような変化が待っているので怖い。

恐怖を乗り越える方法は、恐怖を直視することだ。恐怖を迎え撃つことだ。恐れていることの内実を知ることだ。逃げ回っていると怖さが増幅する。

まず怖いものについて調べてみる。怖いものをいじり回してみる。未来が怖いのならば、どんな未来が来るのか、そのいくつかの可能性をガンガン調べてみる。

未来も怖いが、人類の過去の歴史も十分に怖い。ほんとうに人間はろくでもない。確かに、この地球こそが地獄であって、「地球は宇宙の流刑地だ」とアメリカの空軍に捕縛ほばくされたエイリアンが語るローレンス・スペンサー編『エイリアンインタビュー』の内容は、私は事実で真実だと直感的に思う。

しかし、あなたも私も、自分が抱える恐怖も含めて未来のことを思うことができる。つまり恐怖も未来も、あなたや私の心の中で対象化される。つまり、あなたや私の心は、恐怖や未来よりも大きいのだ。怖がることはない。

クソどうでもいい仕事は報酬が高いが不幸感とストレスに悩まされる

人類学者のデヴィッド・グレーバー(David Graber, 1961~)著『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳、岩波書店、2020)という分厚いが面白い本がある。

決算書のデータを基に説明するビジネスウーマン
写真=iStock.com/utah778
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この本によると、人の役に立つ仕事(看護師、介護士、保育士、初等教育の教師などの広義のケア労働や真に生産的な仕事)よりも、人材コンサルタントや大企業の財務戦略担当や顧問弁護士や、官公庁や企業や投資会社などの無駄な類の管理職など、ほんとうには人の役に立っていない仕事=クソどうでもいい仕事(bullshit jobs)のほうが、報酬がはるかに高い。だから、多くの人々はその種の仕事を選ぶが、やりがいを感じることができないので、不幸感とストレスに悩んでいるそうだ。

これらのグレーバーが提示した問題も、AIやロボットが発展した未来の人類社会では消えるのかもしれない。ほんとうに役に立っている仕事も、ほんとうは無駄で無意味な虚栄的仕事も消えるかもしれない社会で、人は何をして生きていくのだろうか。